著作権制度の見直しで欧州委が意見募集、EU統一ルールの導入も視野に

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著作権制度の見直しで欧州委が意見募集、EU統一ルールの導入も視野に

 欧州委員会は12月5日、デジタル時代に対応した著作権制度のあり方について検討を進めるための意見募集を開始した。著作権を「創造とイノベーションを推進する効果的なツール」と位置付け、著作者の権利を保護しながら著作物のより自由な利用を可能にして文化産業の振興を図るため、EUレベルで著作権法を統一する構想を含めて各方面から意見を聞く。

 欧州委は昨年12月にまとめた「デジタル単一市場におけるコンテンツ」と題する政策文書で、EU域内における国境を越えたデジタルコンテンツへのアクセス、著作権の制限と例外、効率的かつ効果的な著作権ルールの執行などを検討すべき優先課題として挙げており、今回の意見募集でもこれらの項目が中心的なテーマとなる。

 欧州委はまず、国ごとに異なる著作権法を統一する構想について触れ、現状ではメリットや実行可能性について域内で意見が分かれていると指摘。国内法に代わるEU共通のルールを導入することで、域内市場におけるコンテンツ保護を実現できるとの考え方がある一方、各国の法律にある程度の柔軟性を持たせたうえで、全体の調和を図る方が現実的だといった意見があると説明している。

 一方、EUは国境を越えたコンテンツ流通を促すため、域内でライセンス制度を整備する必要に迫られている。欧州委は著作者に対して「適正なレベルの権利保護」を保障しながら、コンテンツへの円滑なアクセスを可能にするため、新たなルールを導入するなど「一段の措置」が必要との認識を示している。

 欧州委はこのほか、加盟国に対して著作権の制限および例外に関する規定を国内法に盛り込むよう義務付けるべきかどうかについても意見を求めている。私的使用のための複製のほか、報道記事や学術論文の引用などが著作権者の許諾を得ずに著作物を利用できる例外規定にあたるが、実際の対応は国によってばらつきがある。たとえば英政府は今年に入り、すでに保有しているか合法的に入手した著作物に限り、私的使用を目的とする他の媒体や機器への複製(フォーマット変換)を認めることや、パロディーを目的とする作品の使用にも著作権の例外規定を適用する方針を打ち出している。

 意見募集の期間は2014年2月5日までとなっている。

(Out-Law.com, 2013/12/6 他)

(庵研究員著)

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