オランダ議会、私的使用目的のダウンロード違法化見送りの動議を採択

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オランダ議会、私的使用目的のダウンロード違法化見送りの動議を採択

 オランダ議会は12月20日、違法ソースからの私的使用を目的とするダウンロードの違法化を見送る動議を採択した。動議を提出した労働党(PvdA)と民主66党(D66)は、ダウンロード違法化は自由な情報の流通やオープンなインターネットの理念に反し、表現の自由も制約するうえ、違法ダウンロードを取り締まるための監視行為が利用者のプライバシー侵害につながるなどと指摘。
ダウンロード違法化はインターネット上の著作権侵害防止のための有効策とはいえず、それよりも合法的なコンテンツ流通を促進することに政策の重点を置くべきだと主張していた。

 一方、オランダでは2013年1月1日から私的録音録画補償金制度が改定され、新たにパソコン、スマートフォン、タブレット端末、オーディオ/ビデオレコーダなどが補償金の対象となる一方、ほとんど需要のないビデオカセットやMDなどは対象から除外される。補償金額はハードディスク搭載デバイスで1台あたり5ユーロ。
業界団体の試算によると、メーカーが徴収団体に納める補償金額は当面6,000万ユーロ程度とされるが、米デル、HP、台湾エイサーなどは負担が重すぎるとして反発を強めており、オランダ政府を相手取り訴訟を提起する方針を示唆している。

 オランダではこれまで、私的録音録画補償金制度を維持する代わりに違法ソースからの私的使用目的のダウンロードを合法化するか、それとも違法ソースからの私的使用目的のダウンロードを違法化する代わりに私的録音録画補償金制度を廃止するかという、二者択一の議論が続いてきた。しかし、ダウンロード違法化か、補償制度かという二者択一の発想からは、たとえば私的複製補償金を支払えば無制限に違法ダウンロードをくり返して構わないのか、といった問題の答えを見つけることは難しく、今後も議論が続くとみられている。

(Telecompape, December 21, 2012 他)

(庵研究員著)

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