Twitterに投稿された写真の無断転載、米裁判所が報道機関による著作権侵害を認定

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Twitterに投稿された写真の無断転載、米裁判所が報道機関による著作権侵害を認定

 ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所は14日、Twitterに投稿された写真を報道機関が本人の許可を得ずに使用した行為は著作権侵害にあたるとの略式判決を言い渡した。ソーシャルメディア上で公開されたコンテンツを第3者が商業目的で使用できるかどうかという問題について、裁判所が判断を示した最初のケースとして注目される。

 今回の事案は、2010年1月のハイチ大地震に遭遇したフリーランスの写真家ダニエル・モレル氏が自身のTwitterページに現地の写真を投稿したところ、仏AFP通信の編集者が他のユーザーのアカウントを通じて同氏の写真を発見。
各種コンテンツをライセンス販売する米ゲッティ・イメージズに本人の許可なく写真を提供した結果、米有力紙ワシントン・ポストなど、ゲッティ・イメージズと契約を結んでいる世界各地の報道機関のサイトにモレル氏の写真が無断転載されたという内容。米紙ニューヨーク・タイムズによると、モレル氏はハイチ出身で、1982年から14年間にわたり米AP通信の専属カメラマンとして勤務した経験を持つ。

 モレル氏側が同年3月、自分の写真が無断で使用されたとしてAFPに差し止めを求める文書を送付したところ、AFP側はソーシャルメディア上で公開された写真は公的に利用可能なものであり、第3者が使用する際に撮影者の許可を得る必要はないと主張。同社の行為が著作権侵害にあたるとするモレル氏側の訴えを退けるため、連邦地裁に略式判決の申し立てを行った。これを受けてモレル氏側もAFP、ゲッティ・イメージズ、ワシントン・ポストを含む複数の報道機関を著作権侵害で提訴していた。

 本件を担当したアリソン・ネイサン判事は判決で、Twitterの利用規約には、ユーザーが投稿した写真を報道機関が本人の許可なく使用できる旨の条項は盛り込まれていないと指摘。AFPやワシントン・ポストなどの行為は著作権侵害にあたり、無断で写真を配信したAFPとゲッティ・イメージズはモレル氏に対して損害賠償責任を負うべきだと結論づけた。ただし、損害賠償の範囲や金額については陪審による事実審理で決定すべきだとしている。モレル氏はAFPやゲッティ・イメージズから写真を入手した複数の報道機関に対し、合わせて数千万ドルから数億ドルの賠償金を要求していたとされる。

(Reuters, January 15, 2013 他)

(庵研究員著)

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