ハリポタ事典の著作権侵害訴訟、原作者が出版差し止めを要求

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 「ハリー・ポッター」シリーズの著者J.K. ローリング氏が同シリーズのガイドとして作成された事典の出版差し止めを求めた裁判の審理が17日まで行われ、原告側は事典のほとんどの項目に原作と同じ表現が使われており、深刻な著作権侵害に当たると主張した。
 同事典「ハリー・ポッター・レキシコン」はミシガン州の教員スティーブン・ヴァンダー・アーク氏がシリーズに登場するキャラクターやストリー、用語などをまとめたもの。米出版社RDRブックスが昨年11月に1冊24.95ドルで発行を予定していたが、計画を知ったローリング氏とハリポタ・シリーズの映画を手掛ける米ワーナー・ブラザースが出版差し止めと損害賠償を求めてRDRブックスを提訴した。
 3日間の審理でローリング氏側は、事典は原作のアイデアを盗用したものでまったく芸術性がなく、作品の品位をおとしめているなどと主張。また同氏自身で2−3年後をめどに事典を出版する計画があった点を強調した。これに対しRDRブックス側は、事典はファンが原作や映画について正しく理解するための手引書であり、むしろ作品の価値を高めることに貢献していると反論。「ロード・オブ・ザ・リングス」や「ナルニア国物語」など他の人気ファンタジー小説ではガイド本が出版されている事実に触れ、原作者側に事典の出版差し止めを請求する権利はないと主張した。
 話題作の関連本などをめぐる著作権侵害訴訟では、出版社側が原作者にライセンス料を支払って和解に持ち込むケースが多いが、今回のケースでは双方とも徹底抗戦の姿勢を崩していない。同事案を担当するマンハッタン連邦地裁のロバート・パターソン判事は、この種の裁判は結審までに何年もかかることが多いとし、「訴訟が常に最善の解決策というわけではない」と指摘。「他の方法で解決することはできないか。今回のケースは和解が可能であり、和解すべき事案だという印象を受ける」と述べた。

(Los Angeles Times, April 18, 2008)

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