欧州議会、著作権侵害取締りの共通ルール導入求める決議

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欧州議会、著作権侵害取締りの共通ルール導入求める決議

 欧州議会は9月22日の本会議で、EUレベルでインターネット上の著作権侵害に対する取締りを強化するための共通ルールの導入を求める決議案を採択した。
決議は映画や音楽をはじめとする著作物の違法ダウンロードを取り締まるためのルールは国によって異なるため全体として十分に機能しておらず、増え続けるネット上の著作権侵害行為が欧州経済に深刻なダメージを与えていると指摘。
加盟国が共通ルールに基づいて著作権侵害行為を処罰できる制度を整える必要があるとして、欧州委員会に新たな法案の策定を求めている。決議に法的拘束力はないが、今回の動きを受けて規制強化を求める業界団体などが欧州委や各国政府への圧力を強める可能性がある。

 2004年の「知的財産権保護の行使に関するEU指令」は加盟国に「ベストプラクティス」に沿って著作権侵害に対する罰則を規定するよう義務付けているが、実際には国によって処罰や改善措置などにばらつきが大きく、効果的な取締りが行われていないのが実情だ。決議はネット上の著作権侵害について「現行の民事規定に基づく著作権行使の枠組みは十分に効果的で、かつEU内で調和がとれているとの欧州委の見解には賛成できない」と明言。欧州委に対し、刑事制裁も視野に違法ダウンロードなどの効果的な防止策をまとめるよう求めている。

 決議はそのうえで、取締りの強化と並行して合法的な「デジタル単一市場」を創設することがネット上における著作権侵害の防止につながると強調。音楽のネット配信などのデジタルサービス分野で単一市場を実現するため、EU共通の著作権ライセンスを創設し、国境を越えて著作権を一元管理する仕組みを整えることを提言している。
(OUT-LAW News, September 22, 2010)

(庵研究員著)

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