演奏家の著作隣接権保護期間を95年に、欧州委が延長を提案

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 欧州委員会は16日、歌手や演奏家の著作隣接権保護期間を現行の実演後50年から95年に延長する方針を発表した。平均寿命が伸びるなかで、実演家が生涯にわたって著作権収入を得られる仕組みを整えるのが狙い。EU閣僚理事会と欧州議会で欧州委の提案について検討する。
 現行のEU指令は作詞家や作曲家の著作権保護期間を死後70年間とする一方、歌手や演奏家の権利については実演から50年を保護期間と定めている。このため、たとえば20代に演奏した録音物の保護期間は70代に切れてしまい、それ以降は著作権収入が入らなくなる。実演家の著作隣接権保護期間は米国の実演後95年、オーストラリアの70年などと比べても短く、各国で現行制度の見直しを求める声が高まっていた。
 欧州委は一方、複数の作詞家や作曲家などが携わった作品の著作権について、最後の生存者が死亡した時点を保護期間の起点として統一することを併せて提案した。音楽作品ではたとえば数人が共同でオペラの台本をつくるといった事例があるほか、とりわけジャズやロックなどでは複数のミュージシャンの共同作業によって作品が生まれるケースが極めて多いが、これまでこうした作品について、著作権保護期間の起点に関する解釈には国によってばらつきがあった。欧州委の提案が承認された場合、共同著作物の保護期間は最後の生存者が死亡した時点から70年間に統一される。

(European Commission Press Release, July 16, 2008 他)

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