デジタル音楽再販プラットフォームの米ReDigiが新たな特許取得、複製せずクラウド上でコンテンツを瞬間移転

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デジタル音楽再販プラットフォームの米ReDigiが新たな特許取得、複製せずクラウド上でコンテンツを瞬間移転

 合法的に入手した音楽ファイルを売買するためのサイトを運営している米新興企業
ReDigiはこのほど、ファイルを複製せずにクラウド上でオリジナルファイルをやり取りする技術の特許を取得したことを明らかにした。ニューヨーク州連邦地裁はReDigiのサービスが著作権侵害にあたるとの判断を下しており、同社がデジタルコンテンツの再販に関連して新たに特許を取得したことは注目に値する。

 ReDigiのサイトでは、ユーザーがiTunesなどで購入した楽曲のファイルをクラウド上に
アップロードし(この時点でユーザーの手元にあるオリジナルのファイルは消去される)、買い手がつくとそのユーザーの端末にコンテンツが送られて、クラウド上のファイルは消去される仕組みになっている。ReDigi社側は、著作物の合法的な所有者は著作権者の許諾を得ずに転売することができるとした「ファーストセール・ドクトリン」を法的根拠として、同社のサービスの合法性を主張していた。しかし、ニューヨーク州南部地区連邦地裁は昨年3月、複製権を侵害されたとして訴えを起こしたキャピトル・レコードの主張を認め、ReDigiのサービスは著作権法上の「複製」にあたると指摘。「ファーストセール・ドクトリンはデジタルコンテンツの取引には適用されない」との判断を示し、ReDigiのサービスは違法と結論づけた。

 ReDigiによると、新たな特許技術はデジタルコンテンツのファイルを複製せずに、オリジナルを瞬間的に移動させる「所有権の原始的移転(atomic transfers ofownership)」と呼ばれるクラウドベースのメカニズムを応用したもので、これにより複製権の問題を回避することができる。さらに著作権侵害を防止するため、売却されたコンテンツが複製されないよう監視する機能も特許技術に含まれているという。

 ReDigiのジョン・オッセンマッハー最高経営責任者(CEO)は「当社の技術およびビジネスモデルは著作権者と消費者の双方にとって役立つものだと確信している」とコメント。プラットフォームの改良を進めて年内にソフトウエア、電子書籍、オーディオブックの取引を可能にするほか、ReDigiと契約したアーティストに再販市場で販売された楽曲の売り上げが支払われる「アーティスト・シンジケーション・プログラム」を立ち上げる計画を明らかにした。

(Future of Copyright, 2014/1/31 他)

(庵研究員著)

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