独下院が「グーグル法案」可決、ニュースタイトルや短文の引用は課金免除

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独下院が「グーグル法案」可決、ニュースタイトルや短文の引用は課金免除

 ドイツ連邦議会(下院)は1日、インターネット検索サイトやニュースアグリゲーターが新聞社など報道機関が配信したニュースを使用する際、ライセンスの取得や使用料の支払いを義務づける内容の著作権法改正案を賛成多数で可決した。ただし、ニュースのタイトルやスニペット(短い抜粋)については権利者の許諾を得ずに使用することが可能で、課金対象からも除外される。今後、連邦参議院(上院)で法案について検討する。

 新聞や雑誌の発行部数が落ち込むなか、欧州諸国ではインターネット上の著作権保護強化策の一環として、検索サイトなどがニュース記事を掲載する際、対価の支払いを義務付けるルールの導入が検討されている。ドイツでは当初、検索サイトなどが使用料を支払わない場合、新聞社などは記事のタイトルやスニペットの掲載を阻止できるとする内容の法案が策定され、メルケル首相率いる中道右派連合も支持を表明していた。

 しかし、グーグルは「ネット上の自由な情報の流通が阻害される」などと主張して法案に強く反発。産業界や知的財産権の専門家グループなどからも、過度の規制はネット検索を不可能にし、知識や情報の伝達が妨げられるといった声が上がり、グーグルは議会に対する圧力を強めていた。その結果、数カ月にわたる議論を経て連立与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と自由民主党(FDP)の間で妥協案が成立し、主として検索サイトをターゲットにしたことから「グーグル法(Lex Google)」 と呼ばれる法案は、当初に比べて緩やかな内容に修正された。

 新たな法案によると、「個々の単語や短文の引用」を検索結果として表示する場合、権利者の許諾を得たり使用料を支払う必要はないが、どこまでが「短文」として許容されるかについては明記されていない。法案はサムネイル画像の無断掲載を合法と認定した連邦行政裁判所の判決を引用しているが、今後、スニペットの定義をめぐって再び議論が加熱する可能性もある。

 グーグル独法人の広報担当はドイツ通信社(dpa)の取材に対し、将来的には 権利者が承認する形で検索結果を表示するとの考えを示したうえで、「法案には必要性も意義もない」と強調。通称グーグル法は「ドイツの産業界とインターネットユーザーに不利益をもたらすだろう」と警告している。

 ネット上での記事利用に関する検索サイトと報道機関などの対立をめぐっては、ベルギーで昨年12月、新聞社の利益を代表する著作権管理団体とグーグルの間で和解が成立。グーグルは新聞社の収益拡大に向け、電子版の有料化やモバイル端末へのコンテンツ配信などを技術面で支援するほか、発行元のサイトに広告を出稿することで合意した。一方、フランスでも先月、グーグルが6,000万ユーロを拠出して、仏新聞・雑誌業界によるデジタル化の取り組みを支援するための基金を設立することで合意。新聞・雑誌業界はこれを受け、グーグルに対する記事利用への対価の支払い要求を取り下げている。

(Deutsche Welle, March 1, 2013 他)

(庵研究員著)

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