EUが著作権管理システムの改革に着手、管理団体のガバナンス改善で合法的なコンテンツ流通を促進

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EUが著作権管理システムの改革に着手、管理団体のガバナンス改善で合法的なコンテンツ流通を促進

 欧州委員会は11日、デジタル時代に対応した著作権管理システムの構築に向けた指令案を発表した。音楽や映像のインターネット配信が急速に普及している現状に対応するため、各国の著作管理団体が満たすべき共通の基準を設けて効率的な著作権管理システムを整備し、国境を越えた合法的なコンテンツ流通を促す。

 EUにはおよそ250の著作権管理団体があり、年間およそ60億ユーロの著作権使用料を取り扱っている。しかし、各国の管理団体が国ごとに著作物の使用許諾を行い、別々に著作権使用料を徴収しているため、たとえば複数市場でオンライン音楽サービスを提供する場合、事業者は各国でそれぞれライセンスを取得しなければならず、これが国境を越えたサービスを妨げる要因になっている。一方、一部の管理団体ではずさんな運営で巨額の損失を出し、権利者に著作権使用料を分配できない事態に陥るケースも報告されている。欧州委はこうした現状を踏まえ、国境を越えた合法的なコンテンツ流通を促すには著作権管理システムに対する権利者や事業者の信頼が不可欠で、そのためには著作権管理団体に運営の透明性とガバナンスの改善を求める必要があると判断した。

 指令案によると、各国の著作権管理団体は著作物を効率的に管理するためのデータベース構築、権利者に対する著作権使用料の迅速な分配、収支などの情報開示、年次報告書の提出などを義務づけられる。一方、各国政府は権利者と著作権管理団体の間の紛争処理メカニズムを整備することが求められる。このほか著作権者の利益を保護するため、著作権管理を委ねる団体を自由に選ぶ権利を保証することも指令案に盛り込まれた。

 欧州委のバルニエ委員(域内市場担当)は「クリエイター、消費者、サービス提供者に利益をもたらすデジタル単一市場を構築する必要がある。
著作権管理団体の運営を効率化することで事業者は国境を越えて新たなサービスを提供しやすくなり、それによって消費者の選択肢が広がり、文化の多様性が促進される」と指摘。デジタル化に対応した著作権管理システムの構築が不可欠との考えを強調した。

(European Commission Press Release, July 11, 2012 他)

(庵研究員著)

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