独裁判所がサムスン製タブレット端末の販売差し止め、特許侵害訴訟でアップルが先勝

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独裁判所がサムスン製タブレット端末の販売差し止め、特許侵害訴訟でアップルが先勝

 ドイツのデュッセルドルフ地方裁判所は16日、米アップルに対する特許侵害で韓国サムスン電子のタブレット端末「ギャラクシータブ(GALAXY Tab)」最新モデルのEU市場での販売差し止めを命じた今月9日の仮処分決定について、同措置の効力をドイツ国内に限定するとの判断を下した。ただし、今回の決定も前回と同じ仮処分で、同裁判所は今月25日に聴聞会を開いて両社から事情を聴取する方針。聴聞会からおよそ3週間以内に最終判断が下される見通しだ。

 問題となっているのは米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したサムスンの新型タブレット端末「ギャラクシータブ 10.1」。アップルが自社の「iPad」とデザインが酷似しているとして、デュッセルドルフ地方裁にオランダを除くEU全域での販売差し止めを求めていた。同裁判所はアップルの主張を認め、当初はオランダを除く域内全域でギャラクシータブ 10.1の販売を一時差し止める仮処分決定を下した。しかし、サムスン側はアップルが裁判所に同製品の販売差し止めを求めていた事実について一切通知されず、意見聴取や証拠提示の機会が与えられないまま販売禁止が言い渡されたと批判を強めており、控訴が確実視されていた。

 デュッセルドルフ地裁は今回の決定について、「ドイツの裁判所が韓国企業に対して(EU市場のほぼ全域での販売差し止めを命じるという)そこまで広範な司法権を持つかどうか、疑問が残る」と指摘。仮処分の適用範囲をドイツ国内に限定するのが妥当と判断したと説明している。

 アップルの広報担当は「サムスン製品が外見からユーザーインターフェース、さらにパッケージまでiPhoneやiPadにそっくりなのは偶然ではない。こうしたあからさまなコピーは看過できず、アップルはアイデアの盗用に対して知的財産権を保護する必要がある」と強調。ただし、裁判所の方針変更についてはコメントを避けた。一方、サムスン側は声明で「聴聞会で当社の知的財産権を擁護する機会が得られると期待している」とコメントしている。

 世界のタブレット端末市場ではiPadを擁するアップルが大きくリードしているが、サムスンも急速にシェアを伸ばしており、ギャラクシータブ・シリーズの販売台数は2010年の推定160万台から今年は500万台を超えるとみられている。こうしたなかでアップルは今年4月、ギャラクシーの操作方法がiPadに酷似しているとして、米カリフォルニア州の裁判所に特許侵害でサムスンを提訴。判決が出るまでの間、ギャラクシータブの輸入を差し止めるよう求めている。一方、サムスンは米国、韓国、日本、ドイツでアップルを逆提訴し、全面対決の姿勢を打ち出している。
(Bloomberg, August 16, 2011 他)

(庵研究員著)

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