有料テレビによるサッカーW杯の独占放映、加盟国に禁止権限=第一審裁

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有料テレビによるサッカーW杯の独占放映、加盟国に禁止権限=第一審裁

 欧州司法裁判所の第一審裁判所は17日、EU加盟国は特定の有料テレビ局によるサッカーのワールドカップ(W杯)や欧州選手権の独占放映を禁止することができるとの判断を下した。国際サッカー連盟(FIFA)や欧州サッカー連盟(UEFA)は放映権料を主な収入源としており、今回の判決を受けて各国で有料テレビでの独占放映が禁止された場合、機構側にとって大きな打撃となる。

 W杯を主催するFIFAは、英国とベルギーで全試合を地上波テレビ局で無料放映することを認めた欧州委員会の判断を不服として提訴。UEFAも英国での欧州選手権の無料放映をめぐり、英政府を相手取って訴えを起こしていた。

 EUは加盟国に対し、オリンピック、サッカーW杯や欧州選手権、テニスの全英オープンなど、「国民の関心が高い」スポーツイベントについて、より多くの市民が試合中継を視聴できるよう、無料の地上波テレビでの放映を認めている。
これに対しFIFAとUEFAは、すべての試合が国民にとって重要とは考えにくく、有料テレビ局への放映権の販売を一律に禁止する措置は「機構側の権利に対する不当な制限」にあたると主張していた。

 第一審裁は機構側のこうした主張に対し、たとえ国外のチーム同士の試合でも、その後の展開によっては自国チームと対戦する可能性があり、あらかじめ「重要な試合」と「重要でない試合」に分類することはできないと指摘。有料独占放映の禁止によって機構側の権利は一部制限されるものの、W杯や欧州選手権は「欧州社会にとって極めて重要なイベント」であり、全試合が無料放映された場合の社会的メリットとの比較衡量において正当化されると説明。加盟国はより多くの市民が大会の全容を追跡できるよう、全試合について有料テレビでの独占放映を禁止することができると結論づけた。

(OUT-LAW News, February 18, 2011 他)

(庵研究員著)

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