仏国立図書館がグーグルと提携交渉、デジタル化事業で近く契約=仏紙報道

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仏国立図書館がグーグルと提携交渉、デジタル化事業で近く契約=仏紙報道

 フランス国立図書館(BNF)が米グーグルと書籍のデジタル化事業に関する提携交渉を進めているもようだ。18日付の仏有力経済紙トリビューヌによると、両者の交渉は数カ月以内に合意に達する見通しという。BNFはこれまで一貫してグーグルの書籍検索サービスに反対の立場をとってきたが、提携交渉がまとめればグーグルの書籍アーカイブにBNFの蔵書が加わり、オンラインで閲覧できるようになる。

 BNFは2004年にスタートしたグーグルの「ブック検索」サービスに対し、自国文化が損なわれるとして当初から強く反発。それぞれの国がインターネット上で自国文化を守り、文化的多様性を維持していくべきだと主張するジャンヌネ前館長の主導で、独自に蔵書をデジタル化するプロジェクト「Gallica」を立ち上げた。BNFは今年に入り、Gallicaの本格運用を開始したが、次世代電子図書館構想は資金面で困難に直面している。英有力紙タイムズがBNF幹部の話として報じたところによると、1870年−1940年に出版された蔵書をデジタル化するためにおよそ8,000万ユーロを要するのに対し、仏政府からの補助金は年間500万ユーロにとどまるという。BNFは資金調達の道を模索するなかで、敵対するグーグルとの提携に方向転換したとみられる。

 BNFはトリビューヌ紙の報道を受け、18日付で「蔵書のデジタル化事業に関してグーグルとの協定に署名したわけではないことを明らかにしたい」との声明を発表。そのうえで「仏文化省の提唱するデジタルコンテンツ戦略に沿う形で民間企業と提携する可能性は排除しない」とし、グーグルとの交渉については言及を避けた。一方、グーグルは声明で「BNFのような権威ある図書館と協力関係を構築できることは喜ばしい。現在、複数の組織と提携交渉を進めているが、現時点で発表できることは何もない」と説明している。

 グーグルはこれまでに英オクスフォード大学のボードリアン図書館など29の大学図書館と提携し、著作権保護期間が切れた作品や絶版になった作品を中心に約1,000万冊の蔵書をデータベース化している。全米出版協会(AAP)や米作家組合はグーグルの書籍検索サービスが深刻な著作権侵害にあたるとして同社を提訴したが、およそ3年にわたる交渉を経て昨年10月、グーグルが1億2,500万ドルを支払うことなどを盛り込んだ和解案で合意した。裁判所の承認を経て正式に和解が成立した場合、海外の権利者にも和解の影響が及ぶため、EUの執行機関である欧州委員会は9月初旬に聴聞会を開いて域内の出版社、作家、消費者団体などから意見を聞き、対応を検討する方針を示している。

(The Times, August 19, 2009 他)

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