グーグルの書籍検索サービス、欧州委が9月に聴聞会

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グーグルの書籍検索サービス、欧州委が9月に聴聞会

 欧州委員会は7月20日、米グーグルの書籍検索サービスが欧州の著作権者に及ぼす影響を検証するため、9月7日に聴聞会を開いて同社が米国の出版業界と合意した和解案について関係者から意見を聞く方針を明らかにした。同委のドルース報道官はすでに域内の出版社、作家、消費者団体などに聴聞会への参加を要請したと説明している。

 グーグルは2004年、米国の大学図書館などの蔵書をデータベース化し、オンラインで検索・閲覧できる「ブック検索」サービスに着手した。これに対し、全米出版協会(AAP)や米作家組合は深刻な著作権侵害にあたるとしてグーグルを提訴。双方はおよそ3年にわたる交渉を経て、昨年10月にグーグルが1億2,500万ドルを支払うことなどを盛り込んだ和解案で合意した。裁判所の承認を経て正式に和解が成立した場合、著作権保護期間内の作品でも絶版または市場に流通していない場合は閲覧可能となるが、和解は米国で著作権を有するすべての人に効力が及ぶとされている。著作権に関する国際条約「ベルヌ条約」の規定により、締約国で出版された書籍は米国でも著作権が発生するため、EU諸国や日本など海外の権利者にも和解の影響が及ぶことになる。

 欧州ではドイツやフランスの作家組合などがグーグルへの反発を強めており、欧州委は今年5月、加盟国の要請を受けて同社の書籍検索サービスがEUの著作権保護ルールに抵触しないか調査する方針を打ち出した。グーグル批判の急先鋒に立つドイツは同社が権利者の同意を得ずに米国の図書館などの書籍をスキャンしてデータベース化した点を問題視しており、欧州委に対して域内の作家や出版社などの権利を保護するための対抗策を検討するよう求めている。

 グーグルの書籍検索サービスをめぐっては、裁判所が和解案の妥当性について判断を下す最終審理が10月7日に予定されているが、反トラスト法の観点から米司法省が現在、和解案に関する調査を進めている。

(Reuters, July 20, 2009 他)

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