米ネットラジオの楽曲使用料めぐる論争に決着、事業規模に応じて料率設定

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米ネットラジオの楽曲使用料めぐる論争に決着、事業規模に応じて料率設定

 デジタル音楽の著作権管理団体SoundExchangeは7日、インターネットラジオ局が流す楽曲の著作権使用料について音楽会社、アーティスト、ネットラジオ局による交渉が合意に達したと発表した。3者の間では楽曲使用料をめぐって2年前から対立が続いていた。
 米国のネットラジオ局は従来、売上高に基づいてSoundExchangeに一定の割合で楽曲使用料を支払ってきたが、著作権料委員会(CRB)は2007年3月、06年1月に遡ってリスナーがある楽曲を1回聴取するたびに著作権使用料を徴収するシステムに移行する方針を打ち出した。ネットラジオの収入をアーティストやレコード会社に適正な比率で分配するのが狙いだが、新システムが適用された場合、ネットラジオ局が支払う著作権料は業界全体で総売上高のおよそ70%に上り、多くの事業者が廃業に追い込まれるとしてウェブキャスター側が強く反発。
米議会を巻き込んで激しい攻防が展開された。
 今回の合意によると、ネットラジオ局は年間売上高が125万ドルを超える大規模事業者、125万ドル以下の小規模事業者、シンジケート型サービスの3種類に分類される。合意内容は2006年に遡って2015年(小規模事業者については14年)まで適用され、大規模事業者は米国における売上高の最大25%もしくは再生回数に応じた楽曲使用料のうち、金額の高い方を支払う。リスナー1人につき1回当たりの使用料は06年の0.08セントから段階的に引き上げられ、15年には0.14セントに設定される。CRBは1回当たりの使用料を06年の0.08セントから10年には0.19セントまで引き上げる計画だった。
 一方、小規模事業者に対する料率は年間売上高が25万ドルまでの場合、06−08年が10%、09−14年は12%に設定される。売上高25万ドルを超える場合は06−08年が12%、09−14年が14%となる。あるいは一律7%の使用料を支払う方法もある。シンジケート型サービスでは全米放送事業者協会(NAB)とSoundExchangeの取り決めに沿って再生回数に応じた使用料を支払う。1回当たりの使用料は06年の0.08セントから段階的に10年は0.16セント、15年には0.25セントに引き上げられる。なお、3つのカテゴリーとも最低支払額は2万5,000ドルに設定される。
 今回の決定を受け、ネットラジオ大手Pandoraはヘビーユーザーへの課金に踏み切る方針を明らかにした。無料サービスを1カ月当たり40時間に制限し、それ以上のストリーミングについては月99セントの支払いを求める。同社は課金の対象となるのはユーザーの10%程度との見方を示している。Pandoraの創設者Tim Westergren氏はブログで「著作権使用料をめぐるネットラジオの危機はようやく過ぎ去った」と強調。サービスを一部有料とすることは本意ではないものの新たな料金システムに対応して長期的にサービスを継続するために必要な措置だと説明している。

(Reuters, July 7, 2009 他)

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