リモートストレージDVRは「合法」、米最高裁がコンテンツ業界の上告棄却

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リモートストレージDVRは「合法」、米最高裁がコンテンツ業界の上告棄却

 米大手ケーブル事業者ケーブルビジョン・システムズが計画しているネットワーク型の次世代デジタルビデオレコーダー(DVR)サービスをめぐる著作権侵害訴訟で、米連邦最高裁判所は6月29日、主要テレビネットワークや大手映画会社の上告を棄却した。これによってリモートストレージDVRシステムの合法性が確定したことになり、ケーブルビジョンは年内にも新サービスの提供を開始するものとみられる。
 リモートストレージDVRシステムは、ユーザーが録画予約したテレビ番組を家庭にある録画機ではなく、ケーブルテレビ(CATV)ネットワークの中央サーバに蓄積し、各家庭のセットトップボックス(STB)を使って番組を再生する仕組み。CATVの加入者は新たにDVRやDVR機能付きのSTBを購入する必要がなく、通常のCATV対応のSTBを使ってDVRと同じように好きな時に番組を再生することができる。
 ケーブルビジョンが2006年3月にリモートストレージDVRサービスの導入計画を発表したところ、有力テレビネットワークや映画会社などの間で同システムではケーブル事業者が無許可で中央サーバにテレビ番組を蓄積し、サービス加入者にコンテンツを再送信することになるため、重大な著作権侵害に当たるとの非難が巻き起こった。ABC、NBC、CBS、20世紀フォックス、ユニバーサル、パラマウント、ディズニーなどはコンソーシアムを結成してケーブルビジョンを提訴。ニューヨーク南部地区連邦地裁は07年3月、原告側の訴えを認める判決を下し、ケーブルビジョンに計画の差し止めを命じた。
 ケーブルビジョンはこれに対し、録画したコンテンツはケーブルネットワークのサーバーに保存されるものの、実際にコピーの操作を行うのはサービス加入者であり、リモートストレージDVRは通常のDVRと本質的に同じサービスだと反論。判決を不服としてただちに控訴した。控訴裁判所は08年8月、ケーブルビジョン側のこうした主張を認めて同社の新サービスがテレビ局や映画会社などの著作権を直接侵害することはないとの判決を下し、一審の差止め命令を無効とした。コンテンツ業界側は同決定を不服として最高裁に上告していた。最高裁は今回、棄却理由には触れず、控訴裁判所の判断を維持する決定を下した。
 米国のテレビ保有世帯におけるDVRの普及率は現在およそ26%だが、ケーブルビジョンはリモートストレージDVRシステムの導入により、約半数の世帯でDVR機能の利用が可能になると予測している。

(Mediaweek, June 29, 2009 他)

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