実演家の権利保護期間を70年に延長へ、欧州議会が修正案を可決

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実演家の権利保護期間を70年に延長へ、欧州議会が修正案を可決

 欧州議会は4月23日の本会議で、実演家やレコード製作者などに認められる著作隣接権の保護期間を現在の実演または発売後50年から70年に延長する法案を賛成多数で可決した。EUの執行機関である欧州委員会は保護期間を実演または発売後95年とする案を提示していたが、加盟国の一部が大幅な延長に難色を示していることから、本会議では妥協案として保護期間を70年とする修正案が提出され、賛成377、反対178、棄権37で可決された。今後、EU閣僚理事会で法案について協議する。
 現行のEUルールは作詞家や作曲家の著作権保護期間を死後70年とする一方、歌手や演奏家、レコード会社などの権利については実演または録音物の発売から50年を保護期間と定めている。著作隣接権の保護期間は米国の実演後95年、豪州の70年などと比べても短く、域内では実演家が生涯にわたって安定的に報酬を得られるよう、現行制度の見直しを求める声が高まっていた。
 今回可決された修正案には新たに「Use it or lose it (使わなければ失効する)」と呼ばれる条項が付け加えられた。実演または発売から50年が経過した時点で作品が市場に流通していない場合、実演家はレコード製作者(所属するレコード会社)に対して権利譲渡に関する契約の解消を求めることができる。レコード製作者は1年以内に作品を再リリースしなければならず、この期間を過ぎると製作者側の権利は無効となる。
 法案にはレコード会社との契約時に実演にかかる権利を放棄したセッションミュージシャンに対する救済策も盛り込まれている。レコード製作者は専用の基金を創設し、著作隣接権の保護期間延長によって得られる新たな収入のうち、少なくとも20%を拠出することが義務付けられる。
 このほか欧州議会は欧州委に対し、保護期間の延長によって実演家の置かれている状況がどの程度改善されたか詳しく検証し、新ルール導入から3年後に報告書をまとめるよう求めている。

(European Parliament Press Release, April 23, 2009)

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