違法ダウンロード対策、仏下院がアクセス遮断の「三振」法案を否決

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違法ダウンロード対策、仏下院がアクセス遮断の「三振」法案を否決

 仏国民議会(下院)は9日、インターネット上の著作権侵害を取り締まるための法案「Creation et Internet(創造とインターネット)」を否決した。違法ダウンロードの常習者に対し、インターネット接続業者(ISP)がアカウントをはく奪してネットへのアクセスを遮断するという厳しい措置を盛り込んだ内容で、サルコジ大統領が旗振り役となっている。上院はすでに同法案を可決しており、下院通過もほぼ確実とみられていた。今回は大半の議員が欠席する中で投票が行われたことから(議席数577に対し、賛成15票、反対21票)、政府は今月28日に改めて採決を実施する意向を示している。
 Creation et Internetは音楽会社、映画会社、ISPなど関連企業と政府の間で合意された法案で、3回目の違反で罰則が適用されることから「三振(スリーストライク)法」とも呼ばれる。具体的にはISPがサービス加入者のオンライン行動を監視し、音楽や映像などのファイルを違法にダウンロードしたユーザーに関する情報を新たに設置される監督機関に報告。同機関が悪質と判断したユーザーに対してISPが最初は電子メール、2回目は書簡で警告を行い、3回目に違反行為が確認された時点でアカウントをはく奪する仕組みだ。該当するユーザーは最大1年間にわたってインターネットへのアクセスを遮断され、他のISPと新たに契約を結ぶこともできない。
 音楽業界や映画業界は同法案を支持しているが、野党や人権擁護団体などは法案が成立すればインターネットのトラフィック監視を容認することになり、憲法やEU法が定めるプライバシー保護規定に抵触すると批判を強めている。通信事業者の団体もISPにとって負担が大きく、違反ユーザーへの罰則も重すぎるとの見解を示している。

◇韓国では「三振法」が可決

 一方、韓国議会は1日、著作権保護された音楽や映像コンテンツなどの投稿を放置している掲示板の閉鎖を盛り込んだ法案を賛成多数で可決した。ISPが違法ファイルを削除するよう警告を発したにもかかわらず従わない場合、3回目の警告で掲示板を強制的に閉鎖するという内容で、閉鎖期間は最大6カ月。さらに違法ファイルをくり返しアップロードしたユーザーからアカウントをはく奪してインターネットにアクセスできないようにする罰則も盛り込まれている。早ければ8月にも新規制が導入される見通しだ。
 増え続ける違法ダウンロードの問題が世界的に深刻化しており、各国でさまざまな対策が検討されている。アイルランドとニュージーランドはフランスや韓国と同様、常習的な違反ユーザーのインターネット接続を遮断する措置の導入を検討している。これに対し、英国、ドイツ、スウェーデンはプライバシー保護の観点からこうした規制の導入を見送る方針を決めている。一方、米国では全米レコード協会(RIAA)が昨年末、著作権保護された楽曲の違法ダウンロードを行ったユーザーに対する訴訟キャンペーンを取り下げ、今後はISPとの連携を強化して悪質な違法行為に対抗していく方針を打ち出した。

(AFP, Apr 9, 2009 / The Korea Times, Apr 5, 2009 他)

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