WIPO第17回著作権・著作隣接権常設委員会、主要3分野について継続協議

海外ニュース

 世界知的所有権機関(WIPO)の著作権及び著作隣接権に関する常設委員会(SCCR)が11月3−7日にジュネーブのWIPO本部で開催され、権利の制限と例外、視聴覚的実演の保護、放送機関の保護についてWIPOとしての作業の現状について検証が行われた。
 まず権利の制限と例外に関しては、視聴障害者による著作物へのアクセスについて重点的に議論され、多くの国が特別の配慮が必要だとの認識を示した。参加国はたとえば著作物を拡大文字や点字などに複写する場合に権利者の許諾が必要か否かなどをめぐり、国によって法律にばらつきがある点を踏まえ、権利の制限と例外の現状について引き続き分析を行うことで合意した。
 さらに知識へのアクセスを保障するための権利制限について、各国で具体的にどのような措置が取られているか把握するため、2009年5月の次回SCCR会合までに質問票を作成して参加国に配布するよう議長に要請した。質問項目には◇教育活動に
おける権利の制限と例外◇図書館や公文書館の活動◇障害者のための対策◇著作権分野におけるデジタル技術 ― などが盛り込まれ、各国からの回答を基に今後の会合で引き続き議論していく。
 視聴覚的実演の保護に関しては、世界的規模で実演家に対する保護を強化する必要があるとの認識で一致した。参加国からは条約締結に向けた合意形成のために情報交換が重要な意味を持つとの意見が出され、SCCRとして引き続き国や地域レベルでのセミナー開催を支援していく方針を確認した。
 放送機関の保護に関しても、条約の早期締結に向けて協議を継続することで合意した。参加国は一連の議論を通じてさまざまな利害関係者の立場に対する理解は進んだものの、保護の目的、範囲、対象について合意に達するにはさらなる意見調整が必要との認識で一致。2007年のWIPO総会で決定した通り、これらの点で合意が形成された後に外交会議を開き、条約締結を目指す方針を確認した。さらに次回SCCR会合で情報部会を開き、放送を取り巻く環境について現状分析を行うことでも合意した。

(WIPO Press Release, November 10, 2008)

コメントを投稿する




*

※コメントは管理者による承認後に掲載されます。

トラックバック