演奏家の著作隣接権保護期間、欧州委が50年から95年に延長の見解

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 欧州委員会のマクリービー委員(域内市場・サービス担当)は14日、歌手や演奏家の著作隣接権保護期間を現在の50年から95年に延長すべきだとの見解を示し、夏までに法案を提出する方針を明らかにした。平均寿命が伸びる中で、歌手や演奏家が引退後も著作権収入を得られる仕組みを整える必要があると判断した。法改正にはEU加盟国と欧州議会の承認が必要で、実施は2010年以降になる見通しだ。
 EUが1993年に制定した著作権保護に関する指令は、作詞家や作曲家の著作権保護期間を死後70年間とする一方、歌手や演奏家の権利は録音から50年を保護期間と定めており、米国の95年、オーストラリアの70年などと比べても短く設定されている。
欧州の音楽業界では1950年代後半から60年代初頭にリリースされたクリフ・リチャード、ビートルズ、ローリングストーンズなどのヒット曲が間もなく隣接権保護の対象外となるため、各国で保護期間の延長を求める声が高まっている。
 マクリービー委員は会見で「現行システムでは作詞家や作曲家が死後70年間にわたって著作権保護の恩恵を受けられるのに対し、演奏家は生存中に権利を失うケースもある。こうした扱いの差を正当化する理由はまったく見当たらない」と説明。
保護期間の延長は早い時期に活動を開始したスタジオミュージシャンなどにとってとりわけ重要な意味を持つと指摘した。

(European Commission Press Release, February 14, 2008 他)

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