プリンターに対する補償金支払請求、独で著作権管理団体の訴え却下

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 ドイツの著作権管理団体VG Wortがプリンターの大手メーカー3社に著作物の複製に対する補償金の支払いを求めていた訴訟で、デュッセルドルフ上級裁判所は1月23日、VG Wortの訴えを却下した。VG Wortはプリンターを利用して著作物が無断で複写される可能性があるとして、エプソン、京セラ、ゼロックスに対し、著作権者への補償として1台につき最大300ユーロの支払いを求めていた。これに対しメーカー3社は、プリンターはあくまでも活字などを印刷する機械であり、複写を目的に利用されるものではないと反論。裁判では概ねメーカー側の主張が認められ、補償金の支払い請求は却下された。

 メーカー側の弁護にあたったテイラー・ウェッシング法律事務所によると、 ドイツで著作権者への一般的な補償請求が却下されたのは今回が初のケース。ドイツでは幅広いデジタル機器を対象に、著作権者への補償として販売価格に一定の金額を上乗せするシステムが導入されており、パソコンとスキャナーについてはこれまでに同制度の合法性を認める判決が相次いで出ている。

プリンターに関しても、先にシュツットガルト地裁と上級裁がヒューレット・パッカード(HP)に補償金の支払いを命じる判決を下し、現在、連邦司法裁判所で審理が行われている。
 ドイツでは現在、著作権法の改正について議論されており、パソコンなどのIT関連機器を対象とする補償金に関しては、販売価格の5%を課金する案が浮上している。

(Managing Intellectual Property, February 6, 2007)

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