グーグルの書籍検索訴訟で米作家協会の訴え棄却、NY連邦地裁がフェアユースと認定

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グーグルの書籍検索訴訟で米作家協会の訴え棄却、NY連邦地裁がフェアユースと認定

 米グーグルの書籍検索サービスをめぐる著作権侵害訴訟で、ニューヨークの連邦地方裁判所は14日、グーグルのサービスはフェアユースにあたるとの判断を示し、米作家協会の訴えを棄却した。作家協会は決定を不服として控訴する方針を示している。

 グーグルは2004年に公共図書館や大学図書館の蔵書を電子化し、インターネットで検索・閲覧できるサービス「グーグル・ブックス」を立ち上げた。米出版社協会(AAP)と米作家協会は、著者や出版社の許可を得ずに書籍を電子化する同サービスは深刻な著作権侵害行為に当たると主張し、05年に相次いでグーグルを提訴。3年に及ぶ交渉の末、3者はグーグルが書籍データベースの利用を通じて得た利益の63%を著作権者に支払うことなどで合意し、09年3月には英語圏で発行された書籍に対象を限定するなどの条件を加えた修正和解案で合意した。しかし、裁判所が和解案の承認を拒否したため、グーグルはAAP、作家協会とそれぞれ個別に交渉を進め、AAPとは昨年、電子化した書籍を公開するか削除
するかの選択権を出版社側に与えることなどを条件に和解。作家協会とはその後も係争が続いていた。

 連邦地裁のデニー・チン判事はグーグルの書籍検索サービスについて、学生、教師、研究者などが文献を見つける際の大きな助けになっており、新たな読者が生まれるきっかけになる可能性もあるとして、「社会に大きなメリットを与えている」と指摘。また、書籍の全文検索が可能なものの、著者や出版社の権利に配慮して、実際に閲覧できる範囲を制限している点を評価し、グーグル・ブックスは研究や報道を目的に著作物の利用を認めるフェアユースに該当すると結論づけた。

 グーグルは「長い道のりだったが裁判所の判断に満足している。グーグル・ブックスはいわばデジタル時代の目録カードのようなもので、くり返し主張しているように著作権法を完全に順守している」との声明を発表。これに対し、作家協会のポール・エーケン事務局長は「裁判所の決定に失望している。グーグルは著作権保護された世界中の文献を無許可で電子化し、それを公開して利益を得ている。このように大量の書籍を電子化して搾取する行為はフェアユースの範囲を越えている」と批判している。

(Reuters, 2013/11/14 他)

(庵研究員著)

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