EU司法裁、単一特許の使用言語めぐるイタリアとスペインの訴えを棄却

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EU司法裁、単一特許の使用言語めぐるイタリアとスペインの訴えを棄却

 イタリアとスペインを除いたEU25カ国の承認による欧州単一特許制度の創設はEUの理念に反するとして、イタリアとスペインが決定の無効化を求めて提訴していた問題で、EU司法裁判所は16日、両国の訴えを棄却した。特許制度の一元化に関して「限られた期間内にすべての加盟国の合意を得ることは不可能だった」と指摘し、使用言語をめぐり新制度に反対するイタリアとスペインを除いた25カ国でEU共通特許を先行導入することを決めた閣僚理事会の決定は「合法」と認定した。
司法裁がイタリアとスペインの訴えを退けたことで、2014 年4月にも単一特許制度が導入される見通しとなった。

 EU加盟国と欧州議会は2011年3月、欧州単一特許の創設、特許訴訟制度の一元化、単一特許の使用言語に関する3つの法案を採択した。新システムでは英語、フランス語、ドイツ語のうちいずれか1つの言語で出願すれば済むため手続きが大幅に簡素化され、スキームに参加するすべてのEU加盟国で同じ効力を持つ特許を取得することができる。欧州委員会は新制度の導入により、翻訳や各国での手続きなどにかかる費用が現在のおよそ7分の1程度のおよそ5,000ユーロで済むと試算している。

 しかし、イタリアとスペインは単一特許の使用言語から自国言語が除外されることに強く反発し、交渉は暗礁に乗り上げた。このため他の加盟国は「強化された協力」と呼ばれる枠組みを適用し、イタリアとスペインを除いた25カ国でEU共通特許を先行導入することを正式に決めた。両国はこれに対し、単一特許の使用言語に関するルールを定めた「翻訳言語規則」はEU条約に違反すると主張して、11年5月にEU司法裁に提訴した。

 イタリアとスペインは「強化された協力」による意思決定は単一市場の精神に反し、加盟国の言語および文化的多様性に対する尊厳を損なうなどと主張していた。司法裁はこれに対し、他の25カ国による先行導入の決定によってイタリアとスペインの権利や権限が制限されるわけではなく、両国はいつでも自由に単一特許のスキームに参加することができる指摘。「強化された協力」に基づく加盟国の意思決定は無効とする両国の主張を退けた。

(Bloomberg, April 16, 2013)

(庵研究員著)

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