米ラジオ最大手が独立系レコード会社と楽曲使用料に関する契約、地上波で初のケースに

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米ラジオ最大手が独立系レコード会社と楽曲使用料に関する契約、地上波で初のケースに

 米ラジオ最大手クリアチャンネルは、カントリーミュージック専門の独立系レコード会社ビッグ・マシン・レーベル・グループとの間で、地上波ラジオで音楽を流す際の楽曲使用料に関する取り決めに合意した。米国のラジオ局が地上波放送での楽曲使用に関してレコード会社と取り決めを結ぶのは今回が初めて。料率など契約の詳細は不明だが、クリアチャンネルは作詞・作曲家および音楽出版社に対する著作権使用料とは別に、ビッグ・マシンと所属アーティストに対して1回の放送ごとに楽曲使用料を支払う。

 米国ではデジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づき、インターネットや衛星経由で楽曲が放送される際は演奏家とレコード会社にも著作権使用料が支払われるが、AMやFMラジオでの楽曲使用はコストがかからない「宣伝」や「プロモーション」とみなされ、これまで対価が支払われてこなかった。
これは著作権保護された録音物が商業メディアを介して演奏される場合、作詞・作曲家のみが著作権使用料の支払い対象になると結論づけた1917年の連邦最高裁判所の判決(Herbert vs. Shanley Company)が法的根拠になっている。音楽CDの売り上げが落ち込んで収益悪化に直面するレコード会社は地上波ラジオの事業者に対し、くり返し利益配分を求める抗議運動を展開してきたが、業界団体の全米放送事業者協会(NAB)は強大な政治力を背景に、これまで一貫して楽曲使用料の支払いを拒否してきた。

 一方、著作権使用料の支払い義務を課されたインターネットラジオ局の間では、同措置に伴うコスト増で業績悪化に苦しむ事業者が増えており、現行制度は地上波ラジオを優遇する不公平なシステムだとの批判が高まっている。スマートフォンの普及やインターネット/衛星ラジオを標準装備した自動車の増加などを背景に、事業者が負担する著作権関連のコストも年々膨らんでおり、リスナーの好みに合わせて楽曲を配信するインターネットラジオ最大手パンドラ・メディアの場合、収益の約60%に相当する著作権使用料を毎年支払っているという。

(Wall Street Journal, June 6, 2012)

(庵研究員著)


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