米ViacomがiPadなどへの番組配信を容認、Time Warner Cableとの訴訟で和解

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米ViacomがiPadなどへの番組配信を容認、Time Warner Cableとの訴訟で和解

 米ケーブルテレビ(CATV)大手Time Warner Cable(TWC)が加入者に提供しているスマートフォンやタブレット端末向け番組配信サービスをめぐり、同社と米大手メディアグループViacomが相互に提訴していた問題で、17日までに両社の間で和解が成立した。和解条件など詳細は明らかにされていない。

 TWCは昨年3月、自社のサービス加入者を対象にiPad用無料アプリ「TWC TV」をリリースし、Wi-Fiを利用してiPadの画面でテレビ番組を直接ライブ視聴できるサービスを開始した。しかし、TWCに番組を提供するViacom、Fox、Discovery Communicationsは契約違反に当たるとして同社にサービスの差止めを請求。
TWCはこれを受け、3社が保有する合わせて11チャンネルの配信を停止する一方、自社の加入者がテレビ受像機以外の端末を使い、自宅内で番組を視聴できるサービスを提供することは、番組供給業者と結んでいる既存の契約でカバーされると反論。裁判所からWi-Fi型のiPad向け番組配信が合法的なサービスであるとの認定を得るため、最も強硬な姿勢を示していたViacomを相手取り、4月に「宣言的判決(declaratory judgment)」を求める訴えを起こした。

 Viacomはこれに対し、テレビ受像機以外の端末への番組配信は既存のライセンス契約に含まれておらず、同社の許諾を得ずにiPad向けに番組を配信するTWCのサービスは契約違反にあたると主張。TWCはViacomに対して追加的な番組再送信料を支払う義務があるとし、契約違反と著作権侵害で直ちにTWCを逆提訴した。

 両社は昨年6月、一時的に訴訟を取り下げ、新たなビジネスモデルを模索することで合意。和解に向けた話し合いが行われるなか、TWCはこの間に配信チャンネルを追加すると共に、iPhoneやAndroid搭載端末向けにサービスを拡大していた。今回の和解により、今後は音楽専門チャンネルMTVやコメディー中心のComedy Centralなど、Viacom傘下のケーブルチャンネルがTWCのアプリ経由でiPadなどに同時配信されることになる。ただし各世帯のWi-Fi網を経由するため、自宅以外の場所で番組を視聴することはできない。

 Viacomはニューヨークなどで事業展開するCablevision SystemsともiPad向け番組配信サービスをめぐり争っていたが、昨年8月に両社の間で和解が成立。
現在はViacom傘下のケーブルチャンネルもCablevisionの加入者向けに配信されている。両社がどのような条件で和解合意したかは公表されていないが、Viacomはテレビ受像機以外の端末への番組配信にかかる権利侵害の損害賠償として、Cablevisionに対し商標権1件につき200万ドルの賠償を求めていたとの情報があり、市場ではCablevision側が支払いに応じた可能性が指摘されている。

(Associated Press, May 17, 2012)

(庵研究員著)

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