ブロードバンド接続が「法的権利」に、フィンランド政府が法案提出

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ブロードバンド接続が「法的権利」に、フィンランド政府が法案提出

 フィンランド政府は14日、高速インターネット接続サービスの利用を法律上の権利と位置付け、すべての国民にブロードバンド環境を保障する法案を発表した。
議会の承認を得て法案が成立した場合、通信会社は2010年7月までに530万人の全国民が少なくとも1Mbpsのブロードバンド接続を利用できるよう、インフラ整備を進めることが義務付けられる。

 欧州議会はインターネット上の著作権侵害対策との関連で、ネット接続を基本的人権の一部と位置付ける立場を表明しているが、政府が高速ネット接続をすべての国民に与えられる権利と宣言したのはフィンランドが初めて。同国ではインターネットの人口普及率が96%と世界で最も高い水準にあるが、法案をまとめた運輸通信省は、ブロードバンド接続サービスは「銀行、水道、電気などと同様」、現代社会に不可欠な基本的インフラだと指摘。法制化によって通信網整備の遅れている農村部などへの投資が促進され、「国民皆ブロードバンド」の早期実現が可能になると説明している。リンデン通信相はさらに、高速インターネットの完全普及が過疎地域における生活の質の向上と地域経済の活性化につながると指摘し、第2段階として2015年までにすべての国民が100Mbpsの高速通信サービスを利用できるようにするという目標も打ち出した。

 フィンランド政府の決断は、違法ダウンロードの常習者に対してネット接続の遮断を含む厳しいルールの導入を決めたフランスや、同様の規制を検討している英国などとは対照的な動きとして注目される。ネット接続が法律上の権利と位置付けられたことで、ただちに違反者に対する接続遮断などの措置が不可能になるわけではないが、すべての国民に平等なアクセスを保障するユニバーサルサービスである以上、権利のはく奪は極めて困難になる。

(guardian.co.uk, October 14, 2009 他)

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