グーグルが他社への書籍データ開放を提案、米著作権局は和解案を批判

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グーグルが他社への書籍データ開放を提案、米著作権局は和解案を批判

 米グーグルは10日、同社が進める書籍のデジタル化計画に関して、電子化した書籍のデータを他社に開放する方針を明らかにした。同社は「ブック検索」サービスをめぐる集団訴訟で米出版業界と合意した和解案の承認を目指しているが、米通販大手アマゾンなどはデジタル書籍市場でグーグルの独占が進むとして和解案に強く反対している。グーグルの書籍検索サービスをめぐっては、米司法省が独禁法の調査を進めており、各方面からの批判をかわすために譲歩策を打ち出したものとみられる。

 米下院司法委員会が同日開いた公聴会でグーグルのデビッド・ドラモンド最高法務責任者が証言を行い、書籍データの開放を表明した。和解案が裁判所に承認されると著作権保護期間が終了した書籍に加え、権利者が公開を拒否しない限り、絶版または市販されていない保護期間内の書籍についても電子化して販売することが可能になる。グーグルが提示した譲歩策により、アマゾンや各書店などは和解によってグーグルが得るこうした権利を利用して、絶版本の書籍データを自由に販売できるようになる。

 一方、公聴会では米著作権局の幹部がグーグルと出版業界の和解案に反対する立場を表明した。メリーベス・ピーターズ著作権登録局長は和解が成立した場合、権利者が公開を拒否する意思表示を行わない限り、著作権保護期間内であっても絶版本などの書籍データが公開される点を特に問題視し、権利者の許可なく書籍データを公開することは「明らかに著作権侵害にあたる」と発言。現行ルールの下で和解案の内容を実施することは不可能との認識を示した。同局長はさらに、和解の影響を受ける海外の作家や出版社などの間で著作権侵害を懸念する声が高まっていると指摘。外交上の問題に発展する可能性もあると警告した。

 ニューヨーク連邦地裁は10月に7日に公聴会を予定しており、各方面からの意見を踏まえて和解案を認めるかどうか最終判断する。

(Wall Street Journal, September 11, 2009 他)

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