米グーグルが書籍検索サービスで欧州向けに譲歩策、「欧州基準」で絶版判断

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米グーグルが書籍検索サービスで欧州向けに譲歩策、「欧州基準」で絶版判断

 米グーグルは7日、同社が進める書籍のデジタル化計画に関して、欧州市場で流通している著作権保護期間内の書籍については米国で絶版になっている場合でも、著作権者の許可がなければデータベース化しない方針を打ち出した。欧州内で同社の「ブック検索」サービスによる著作権侵害を懸念する声が高まっているのを受けた措置。グーグルはさらに、昨年10月に米国の出版業界と合意した和解契約に基づいて新たに設立する著作権管理のための非営利組織「版権レジストリ」について、理事会メンバーに米国以外の代表を加える方針も明らかにした。

 欧州ではドイツやフランスの作家組合などがグーグルへの反発を強めており、欧州委員会は加盟国の要請を受けて同社のブック検索サービスがEUの著作権ルールに抵触しないか調査を進めている。7日には同サービスが欧州の権利者に及ぼす影響を検証するための公聴会が開かれ、域内の出版社などから和解案が裁判所に承認された場合、デジタル書籍市場でグーグルによる事実上の独占が形成されるといった意見が相次いで表明された。グーグルはこうした批判に対応するため、欧州出版業界の主要団体に書簡を送り、2つの譲歩策を提示した。

 和解案が承認されると米国のユーザーは著作権保護期間が終了した書籍に加え、絶版または米国で市販されていない保護期間内の書籍も閲覧できるようになる。著者や出版者が事前に公開を拒否した場合は検索対象から除外されるが、市販されているかどうかは米国内での流通状況に基づいて判断されるため、欧州市場で市販されている保護期間内の書籍が権利者の許可なくデータベース化される可能性がある。グーグルはこうした懸念に応えるため、欧州内で流通している書籍については米国での入手が不可能な場合でも、権利者の明確な許可がない限り、検索対象としないことを確約している。

 グーグルはまた、著者、出版社、その他の権利者の代理として書籍検索サービスから得られる収入を一括管理する版権レジストリについて、新たに欧州の出版社や作家などを理事会メンバーに加える方針も明らかにした。同社は和解に基づき、版権レジストリの設立に1億2,500万ドルを投じることに同意している。

 グーグルの書籍検索サービスをめぐっては、米司法省が独禁法の調査を進めている。また、8月末には同社と出版業界が合意した和解案に反対するマイクロソフト、ヤフー、アマゾンなどが中心となって「オープン・ブック・アライアンス」を結成。

デジタル書籍市場で公正な競争が確保されるよう、グーグルに和解内容の修正を求めていく方針を示している。アライアンスには3社のほかに出版社、権利者団体、図書館関連団体、ジャーナリストの団体などが参加している。

(Associated Press, September 7, 2009 他)

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