ネット中傷、若者の被害申告 米で啓発運動!

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いじめにNO! 体験者が学校訪れ訴え レディー・ガガさんが支援財団

米国の若者がいじめ問題に直面している。フェイスブックなどの交流サイト(SNS)が普及し、「言葉による暴力」はより激しくなった。子供たちが互いの個性を尊重するにはどうしたらいいのか。地域社会による草の根の取り組みから、人気歌手レディー・ガガさんが主導する全米規模の運動まで、「いじめ防止」を目的とした活動が、全米に広がっている。

2月中旬、米イリノイ州シャンペーン市郊外のブルーリッジ中学校。「時がたてばいじめの嵐も過ぎ去る。信頼できる人に相談し、希望を失わないで」。約300人の生徒を前に、高校生のサラ・サルティエルさん(17)がいじめ被害を乗り越えた体験を語った。

サルティエルさんは非営利のパフォーマンス集団「ムワ!」のメンバー。選抜された10代の若者がイリノイ州の地元の学校を定期訪問。音楽やダンスを通じ、いじめがいかに人の心を傷つける暴力であるかを伝えている。

 「あなた方は今のままで美しい。誰も命を奪う権利なんてない」。この日、サラさんに導かれてステーシー・コーナーさん(36)が登場すると、生徒たちは静まり返った。

昨年11月、コーナーさんの娘、アシュリンさんがわずか10歳で自らの命を絶った。「太っている」「醜い」など同級生から言葉の暴力を受け、先生に相談しても取り合ってもらえなかった。「自宅学習に変えたい」と懇願する娘の言葉を、母親のコーナーさんは最後のSOSだとは気付けなかった。悲劇を繰り返さないために、生きることの尊さを訴えた。

学校側も動く。ブルーリッジ校では、希望する生徒に青いブレスレットを配った。いじめの現場に立ちあったら勇気を出して止める。「SAFE(安全)」と印字されたブレスレットは、そうした学校と生徒の決意表明だ。

米国のいじめ問題は、今に始まった話ではない。だがここ数年で爆発的に広まったフェイスブックやミニブログのツイッターが状況を深刻にした。バージニア大のピーター・シェラス教授は「ネット上では簡単に仲間同士が結束でき、軽い気持ちで他人を中傷することも増えた」と指摘する。

交流サイトの浸透でどこにいても逃げ場がなくなった。正確な統計はないが、米国では1000万人を超える若者がいじめ被害にあっているとの報告もある。

「いじめる側といじめられる側の双方に手をさしのべなければいけない」。2月末、若者の絶大な支持を集めるレディー・ガガさんが、母親とともに名門ハーバード大の講堂に立った。いじめ防止の啓発活動などを目的にガガさんらが設立した「ボーン・ディス・ウエイ財団」の決起集会。活動に賛意を示したハーバード大と提携し、若者が互いの個性を認め合う社会の実現を目指す。

昨年9月、ニューヨーク州で同性愛者とみられる14歳の少年がいじめを理由に自殺した。その少年が個性の尊重を訴えるガガさんに影響を受けていたのを知り、財団の設立を思い立った。ガガさん自身も学生時代にいじめにあったことを告白している。

全米では今春から「ブリー(いじめ)」と題されたドキュメンタリー映画の公開も始まった。いじめに苦しむ子供たちや両親、一方で十分な対策を打てない学校や地域社会の姿を映し出し、問題の根の深さに迫る。全米規模で公開されているのは米国人の関心の高さの表れだ。監督したリー・ハーシュさんは「誰もがいじめ問題に真剣に向き合い、危機の克服に向けて歩み出せればいい」との願いを込めている。

出典元:日本経済新聞 4/22朝刊記事より(http://www.nikkei.com/news/print-article/?R_FLG=0&bf=0&ng=DGKDZO40670780S2A420C1CR8000)

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