LAIT NEWS

No.242:バックナンバー

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■LAIT News【Vol.242 2014/5/7号】

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1.LAIT活動報告
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LAITセミナーについてお知らせします。

■■最新の活動報告■■
「今世紀の条約動向とマラケシュ条約の意味~人権条約と著作権条約の交錯~」
は好評のうちに終了いたしました。
たくさんの方にご来場いただき誠にありがとうございました。

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2.海外の注目ニュース
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海外の注目の最新ニュースをお知らせします。

■■オランダの私的録音録画補償金制度は「EU法違反」、
  司法裁が現行制度の見直しを勧告■■
●EU司法裁判所は4月9日、オランダの私的録音録画補償金制度は複製権の例外と
著作権保護技術との関係について規定したEU指令に違反するとの判断を示した。
オランダの著作権法では個人が商業目的でなく、私的な使用を目的として著作物を
複製する場合は著作権侵害とみなされないが、違法コピー対策として著作権者の
権利保護を図るため、記録媒体の製造業者と輸入業者に保証金の支払いを
義務づけている。司法裁は違法ソースからの私的使用目的のダウンロードを著作権
侵害とみなさず、合法的ソースからのダウンロードと同等に扱って、一律に私的複製の
補償金制度を適用している点を問題視し、オランダ政府に対して早急に現行制度を
見直すよう求めている。
 オランダでは1991年に私的録音録画補償金制度が導入され、2001年のEU指令を
受けて2004年に著作権法の改正が行われた。現在は権利者の利益を代表する私的
複製協会(Stichting de Thuiskopie)と、記録媒体の製造メーカーで構成する「SONT」
と呼ばれる組織が補償金の対象品目と補償金額を決定している。
 司法裁は判決で、オランダの現行システムは合法的ソースからの私的複製と違法
ソースからの私的複製を区別せず、私的使用を目的とする違法コンテンツのダウン
ロードを容認することで、補償金制度の本来の目的や機能が損なわれていると指摘。
著作物の違法な複製も実質的に補償の対象となっており、そのため消費者は不当な
コスト負担を強いられているとして、オランダ政府に対し、合法的な私的複製のみに
補償金制度が適用されるよう制度変更を急ぐよう求めている。
 オランダでは長年にわたり、私的録音録画補償金制度を維持する代わりに違法
ソースからの私的使用目的のダウンロードを引き続き容認するか、それとも違法
ソースからの私的使用目的のダウンロードを違法化する代わりに私的録音録画
補償金制度を廃止するか、という二者択一の議論が続いていた。国民の間では
ダウンロード違法化は自由な情報の流通やオープンなインターネットの理念に反し、
表現の自由や知識の共有を阻害するといった意見や、違法ダウンロードを取り締まる
ための監視行為が利用者のプライバシー侵害につながるといった懸念が根強く、
最終的に政府は昨年、違法ソースからの私的使用目的のダウンロード違法化を
見送った経緯がある。
 司法裁の判決を受け、オランダ治安・司法省はEUルールに沿って現行制度の
見直しを進める方針を表明している。
(Future of Copyright, April 9, 2014 他)

■■標準必須特許めぐりサムスンが欧州委と和解、
   モトローラの差し止め請求に違法判断■■
●欧州委員会は4月29日、韓国のサムスン電子が通信関連の特許をめぐり、
競合企業に対する差し止め請求を自粛する方針を打ち出したことを受けて、
同措置を法的拘束力のある公約として受け入れたと発表した。欧州委はサムスンに
制裁金を科すことを見送り、同社に対する調査を打ち切る。
 サムスンは2011年以降、自社が保有する第3世代携帯電話(3G)の通信規格
「UMTS」に関連した特許について、米アップルによる特許侵害を主張して10カ国以上で
アップル製品の販売差し止め訴訟を起こした。しかし、同特許はスマートフォンなどの
開発に不可欠な標準必須特許となっており、サムスンは欧州における電気通信分野の
標準化団体である欧州電気通信標準化機構(ETSI)に対し、いわゆる「FRAND」と
呼ばれる「公正、合理的、非差別的」な条件で他社に使用を許諾することを
約束していた。
 欧州委は12年1月、標準必須特許の侵害を理由とした差し止め請求はEU競争法に
違反する可能性があるとして、サムスンに対する調査を開始。同年12月にはFRAND
条項を順守せず、特許侵害を理由にライバルのアップルを市場から締め出そうとする
サムスンの行為は市場支配的地位の乱用に当たるとの見解をまとめ、同社に対して
異議告知書を送付した。
 サムスンは制裁を回避するため、昨年10月に和解に向けた是正策を提示。
欧州経済領域(EEA)で特許ライセンスの枠組みに合意したすべての企業に対し、
携帯端末の標準必須特許に関連した差し止め請求を今後5年間自粛することを
約束した。欧州委は利害関係者から意見募集を行い、最終的にサムスンの提案を
妥当な是正措置と認定した。
 一方、欧州委は同日、米グーグル傘下のモトローラ・モビリティーがスマートフォンに
関連した特許をめぐり、米アップルに対して同社製品の販売差し止めを求めている
問題で、標準必須特許の侵害を理由とする差し止め請求はEUルールに違反するとの
見解をまとめた。サムスンと同様、モトローラに対しても制裁金は科さず、競合他社に
公平な条件でライセンスを提供するよう求めている。
 モトローラは11年、自社の3G通信規格などの標準必須特許が侵害されたとして
ドイツでアップルを提訴。マンハイム地方裁判所はアップルによる特許侵害を認め、
同社製品の販売差し止めを命じたが、欧州委はアップルの申立てを受けて12年4月
からモトローラに対する調査に着手。昨年5月には、アップルに対する差し止め請求は
市場における優位性を乱用した競争阻害にあたるとの予備的な判断を示していた。
 欧州委のアルムニア副委員長(競争政策担当)は「消費者がスマートフォンに
関連した特許紛争の犠牲になることがあってはならない。特許権者が正当な報酬を
得る権利は保障されなければならないが、同時に第3者が公正、合理的、非差別的な
条件で標準化された技術にアクセスできるようにすることが不可欠だ」と強調。
サムスンとモトローラに対する今回の決定は「標準必須特許の侵害を理由とする
差し止め請求がどのような場合に反競争的とみなされるかについて、法的明確性を
与えるものだ」と指摘している。
(European Commission Press Release, April 29, 2014 他)

(庵研究員著)

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3.政府・団体の動向
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政府・団体の動向に関する最新記事の抜粋です。
詳細の横のURLをクリックすることで記事全文を示したページにアクセスできます。

■■情報セキュリティ法務関連政府・団体の動向■■

●4月23日、情報処理推進機構が「脆弱性対策情報データベースJVN iPediaの
登録状況 [2014年第1四半期(1月~3月)]」を公開
詳細:http://www.ipa.go.jp/security/vuln/report/JVNiPedia2014q1.html
(注:PDFファイル有り)

●4月24日、警察庁が『平成25年中の「インターネット・ホットラインセンター」の
運用状況等について』を公表
詳細:http://www.npa.go.jp/cyber/statics/h25/pdf03-2.pdf
(注:PDFファイル)

●4月24日、情報処理推進機構が「ソフトウェア等の脆弱性関連情報に関する
届出状況[2014年第1四半期(1月~3月)]」を公開
詳細:http://www.ipa.go.jp/security/vuln/report/vuln2014q1.html
(注:PDFファイル有り)

●4月25日、情報処理推進機構が「コンピュータウイルス・不正アクセス届出状況
および相談受付状況[2014年第1四半期(1月~3月)]」を公開
詳細:http://www.ipa.go.jp/security/txt/2014/q1outline.html
(注:PDFファイル有り)

●4月25日、情報処理推進機構が「サイバー情報共有イニシアティブ(J-CSIP)
運用状況 [2014年1月~3月]」を公開
詳細:http://www.ipa.go.jp/security/J-CSIP/index.html
(注:PDFファイル有り)

●4月25日、日本情報経済社会推進協会が「制御システムのセキュリティマネジメント
システム(CSMS)認証制度が始動」を公表
詳細:http://www.jipdec.or.jp/information/newsrelease/20140425.html
(注:PDFファイル有り)

●4月25日、日本情報経済社会推進協会が「JIPDECインフォメーション第122号」を
公表
詳細:http://www.jipdec.or.jp/magazine/backnumber/magazine-140425.html
(注:PDFファイル有り)

●4月30日、情報処理推進機構が「Adobe Flash Player の脆弱性対策について
(APSB14-13)(CVE-2014-0515)」を公開
詳細:http://www.ipa.go.jp/security/ciadr/vul/20140430-adobeflashplayer.html

●5月1日、情報処理推進機構が『2014年5月の呼びかけ 「あなたのスマートフォン、
のぞかれていませんか?」』を公表
詳細:http://www.ipa.go.jp/security/txt/2014/05outline.html
(注:PDFファイル有り)

●5月2日、情報処理推進機構が「更新:Internet Explorer の脆弱性対策について
(CVE-2014-1776)」を公開
詳細:http://www.ipa.go.jp/security/ciadr/vul/20140428-ms.html

■■コンテンツビジネス法務関連政府・団体の動向■■

●4月21日、日本レコード協会が「無断複製MIX-CD販売事件について」を公表
詳細:http://www.riaj.or.jp/release/2014/pr140421.html

●4月22日、日本映像ソフト協会が「『映像ソフト市場規模及びユーザー動向調査
2013 結果』について」を公表
詳細:http://www.jva-net.or.jp/news/news_140422.pdf
(注:PDFファイル)

●4月22日、総務省が「放送コンテンツの海外展開に関する現状分析」を公表
詳細:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02iicp01_03000028.html
(注:PDFファイル有り)

●4月25日、総務省が『「インターネットのサービス品質計測等の在り方に関する
研究会」第一次報告書』を公表
詳細:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban04_02000080.html
(注:PDFファイル有り)

●4月25日、総務省が『「ビッグデータの活用による路面管理及び農業の高度化」、
「放送・通信分野等における公的個人認証サービスの利活用」及び
「スマートプラチナ社会の構築」に関する実証に対する意見募集の結果』を公表
詳細:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu02_02000096.html
(注:PDFファイル有り)

■■産業財産権法務関連政府・団体の動向■■

●4月23日、発明推進協会が『知財かわら版「Apple の戦術
~Android 陣営への訴訟 ~」』を掲載
詳細:http://www.jiii.or.jp/chizaiyorozuya/pdf/kawara/kawara20140423.pdf
(注:PDFファイル)

●4月25日、華誠律師事務所が「中国知的財産権最新ニュース」を掲載
詳細:http://www.jiii.or.jp/chizaiyorozuya/pdf/kawara/WB201405CY.pdf
(注:PDFファイル)

●4月28日、特許庁が「模倣対策マニュアル、知的財産権侵害判例・事例集、
調査報告書」を更新
詳細:http://www.jpo.go.jp/torikumi/mohouhin/mohouhin2/manual/manual.htm
(注:PDFファイル有り)

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4.セミナー情報
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最新のセミナー情報をお知らせいたします。
詳細の横のURLをクリックすることでセミナー詳細情報を示したページにアクセス
できます。

■■情報セキュリティ法務関連セミナー情報■■

演題:情報セキュリティEXPO
日時:平成26年5月14日~16日
主催:リード エグジビション ジャパン株式会社
詳細:http://www.ist-expo.jp/

演題:CSA Japan SUMMIT 2014
クラウド時代のセキュリティ~新しいリスクの対応 他
日時:平成26年5月23日
主催:日本クラウドセキュリティアライアンス
詳細:http://www.cloudsecurityalliance.jp/Summit_May.html

演題:システム監査学会第28回研究大会
「ITの進化とシステム監査」
日時:平成26年6月6日
主催:システム監査学会
詳細:http://www.sysaudit.gr.jp/taikai/2014taikai.html
(注:PDFファイル有り)

■■コンテンツビジネス法務関連セミナー情報■■

演題:2014年5月著作権研究会
「著作権・著作隣接権の存続期間をめぐって」
日時:平成26年5月22日
主催:著作権情報センター
詳細:http://www.cric.or.jp/seminar/index.html#sem201405

演題:第11回シンポジウム
「スポーツビジネスと弁護士」
日時:平成26年5月24日
主催:エンターテインメント・ロイヤーズ・ネットワーク
詳細:http://www.j-eln.org/

演題:2014年6月著作権研究会
「Google Books訴訟と各国のデジタル・アーカイブ政策」
日時:平成26年6月18日
主催:著作権情報センター
詳細:http://www.cric.or.jp/seminar/index.html#sem201406

演題:デジタル時代の新たな著作権法
著作権とイノベーションの調和は可能か?―米、EU、英、豪の最新動向―
日時:平成26年6月30日
主催:ソフトウェア情報センター
詳細:http://www.softic.or.jp/seminar/140630/index.htm

■■産業財産権法務関連セミナー情報■■

演題:「新しいタイプの商標」と商標権侵害
日時:平成26年5月12日
主催:発明推進協会
詳細:http://www.jiii.or.jp/kenshu/h26/0512.pdf
(注:PDFファイル)

演題:英文による知財ライセンス契約書の作成と交渉のポイント
日時:平成26年6月10日
主催:発明推進協会
詳細:http://www.jiii.or.jp/kenshu/h26/0610.pdf
(注:PDFファイル)

演題:知財判例の読み方講座
日時:平成26年6月12日
主催:発明推進協会
詳細:http://www.jiii.or.jp/kenshu/h26/0612.pdf
(注:PDFファイル)

平成26年度 第1回知的財産権研修[初級]
日時:平成26年7月15日~17日
主催:工業所有権情報・研修館 
詳細:http://www.inpit.go.jp/jinzai/kensyu/gyosei/syo/26chizai_ken_1.html
(注:PDFファイル有り)

*詳細は、主催団体のHPへのリンクです。リンク先のコンテンツの内容・著作権等
に関しては、各リンク先にお問い合わせください。

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5.事務局からの連絡
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●次号は、2014年5月20日頃発行の予定です。
●ご意見、ご要望は事務局までどうぞお寄せください。
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(Legal Affairs on Information Technology Institute:LAIT)
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