仏政府がスマホやタブレットへの課税を検討、文化振興策の財源に

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仏政府がスマホやタブレットへの課税を検討、文化振興策の財源に

 フランス政府はスマートフォンやタブレット端末などに一律課税し、税収を文化・芸術の振興に充てる制度の導入ついて検討に着手した。フランスでは1993年に導入された「文化的例外(exception culturelle)」政策に基づき、国内のテレビ局、ラジオ局、インターネット接続業者などに課税し、税収を創作活動を支援するための財源として活用している。ネット経由のコンテンツ流通が主流になりつつある現状を踏まえ、新たにアップル、グーグル、アマゾンなど国外のインターネット企業の製品に課税することで、著作権侵害による損害を受ける権利者の保護強化を図る。

 インターネット接続機器に課税する案は、政府から現下の厳しい経済状況で文化振興策の財源を確保する方法について検討を要請された専門委員会が提言した。仏有料テレビ大手カナル・プリュスの元最高経営責任者ピエール・レスキュール氏らがまとめた報告書によると、課税対象はスマートフォン、タブレット端末、携帯音楽プレーヤーなど。税率は販売価格の1%程度で、年間8,600万ユーロの税収を見込んでいる。

 報告書は「消費者はコンテンツよりデバイスにより多く支出しており、インターネット接続機器に課税することで文化芸術活動を資金面で支援することが可能になる」と指摘。文化的コンテンツの主要な流通業者でありながら、これまで創作活動を支援するスキームに貢献してこなかった米国などのインターネット企業を課税対象とすることで、税の公平性を確保できると説明している。

 フィリペティ文化相は提言を受け、「現在は高度に洗練されたインターネット接続機器が高額で販売されているが、それらのデバイスで視聴されるコンテンツに対して経済的貢献をまったくしていない。スマートフォンやタブレット端末などのメーカーは売り上げの一部を還元してクリエイターの支援に協力すべきだ」と発言。
専門委の提言を基に「文化税(仮称)」の導入に向けた法制化の作業を進め、11月に予算関連法として法案を提出したい考えを示した。

(BBC News, May 14, 2013 他)

(庵研究員著)

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