検索サイトへの記事掲載に使用料支払い義務、仏独などで法制化の動き ― グーグルは猛反発

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検索サイトへの記事掲載に使用料支払い義務、仏独などで法制化の動き ― グーグルは猛反発

フランスやドイツを含む欧州諸国を中心に、グーグルなどのインターネット検索サイトがニュース記事へのリンクを掲載する際、コンテンツ使用料の支払いを義務付けるルールの導入が検討されている。ネット上でのコンテンツ流通に伴い新聞や雑誌の発行部数が落ち込むなか、著作権保護の仕組みを整えて出版元の収益を確保するのが狙い。しかし、グーグル側はこうした動きに対し、「開かれたインターネットネット」の土台が損なわれ、ネット上の自由な情報の流通が阻害されるなどと強く反発している。

 ドイツのメルケル政権は昨年、検索サイトやニュースアグリゲーターに自社コンテンツの抜粋やサイトへのリンクが掲載された場合、新聞社などの出版元は著作権管理団体を通じて使用料を徴収できるとする内容の法案を提出。すでに連邦参議院(上院)は同法案を賛成多数で可決しており、今月から連邦議会(下院)で審議が始まる見通しになっている。仏政府も出版業界などの強い働きかけを受けて同様のルールの導入を計画しており、イタリア、オーストリア、スイスなども検索サイトなどに対してコンテンツ使用料の支払いを義務付ける方向で検討に着手した。

 グーグルはこうした動きに強く反発している。先月には仏政府に対し、コンテンツ使用料の支払いが義務化された場合、仏メディアのコンテンツをグーグルニュースの検索結果からすべて排除すると通告するなど、徹底抗戦の構えをみせている。

 こうしたなか、オランド大統領は10月末にグーグルのシュミット会長と会談。
新たな規制を導入するより話し合いによる解決が望ましいとの考えを示し、早急に出版社などとの交渉に入るよう求めた。そのうえで大統領は、年内に妥協点が見いだせない場合は法制化の手続きを進めることになると警告した。

 大陸欧州では米国に比べ、著作権に関して伝統的に厳格なルールが導入されており、このことがグーグルなどに対する出版社側の不満の背景にある。しかしドイツでは、検索サイトなどにコンテンツ使用料の支払いを義務付ける法律の導入は出版業界に対する「間接的な補助金」にあたり、インターネットを利用したビジネスモデルの発展を妨げるといった批判も出ている。

(New York Times, October 30, 2012)

(庵研究員著)

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