米新聞業界がネット上の著作権侵害対策で合弁会社設立、APやNYTなど29社が参加

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米新聞業界がネット上の著作権侵害対策で合弁会社設立、APやNYTなど29社が参加

 米有力紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)、ワシントンポスト、AP通信など29社は5日、インターネット上の著作権侵害対策に共同で取り組むため、合弁会社「ニュースライト(NewsRight)」を設立したと発表した。オンライン上の合法的なコンテンツ流通を促してライセンス料を確保するのが狙い。ニュースライトは独自のコンテンツ監視システムを導入して記事の無断掲載防止に役立てる。

 ニュースライトはAP通信が2年前に立ち上げた「ニュース・ライセンシング・グループ(News Licensing Group)」を前身とする営利組織。APはライセンス契約を結んだポータルサイトなどと協力し、ネット配信されたコンテンツを追跡して記事が無断で掲載されていないか監視するシステムを開発した。ニュースライトでは同システムを利用して、プロジェクトに参加する新聞社などのサイト(現時点で841)から配信されるすべての記事に固有のコードを挿入し、流通過程でコンテンツが無断使用されると自動的に認識してデータベースに登録する仕組みを導入する。各社はニュースライトがレポートするトラフィック数などを基に、違法サイトにコンテンツ使用料を請求するなどの措置を取ることが可能になる。

 ニュースライトがターゲットにするのは通信社や新聞社が配信したオリジナル記事を無断でそのまま掲載(scrape)するケースで、AOL傘下のハフィントン・ポストなどのように、記事をリライトして配信しているサイトについては黙認する方針。新聞社などはそれぞれ独自にオンライン上の著作権侵害対策を講じているが、違法サイトの監視などには多大な費用と時間が必要で、各社にとって大きな負担になっている。ニュースライトはこうした問題を解消してコンテンツの使用許諾を円滑化する「ワンストップ・ショップ」を確立し、質の高いニュース記事の流通を促進することを最大の目的としている。

 ニュースライトにはAPやNYTのほかアドバンス・パブリケーションズ、アクセル・シュプリンガー、ハースト・ニュースペーパーズ、マクラーチMcClatchy、メディア・ゼネラルなどが参加しており、これまでに約3,000万ドルがプロジェクトに 投じられた。ウォルト・ディズニー傘下のABCニュースの前社長デヴィッド・ウェスティン氏がニュースライトの最高経営責任者(CEO)に就任し、APのトム・カーリー社長兼CEO、ワシントンポストの発行人キャサリン・ウェイマス氏、マクラーチのゲイリー・プルーイットCEOなどが役員に名を連ねている。

(Reuters, January 5, 2012 他)

(庵研究員著)

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