GM作物の加工品には特許権の効力及ばず、欧州司法裁がモンサントに敗訴判決

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GM作物の加工品には特許権の効力及ばず、欧州司法裁がモンサントに敗訴判決

 欧州司法裁判所(ECJ)は6日、米農業化学大手モンサントが開発した除草剤耐性の遺伝子組み換え(GM)ダイズ「ラウンドアップ・レディー(RR)」をめぐる特許侵害訴訟で、RRを原料とするアルゼンチン産大豆粉のEU域内への輸入差し止めを求めたモンサントの訴えを退ける判決を言い渡した。GM作物の加工品には特許権の効力が及ばないとの判断を示したもので、GM技術に関連した特許訴訟の先例として注目される。

 RRはモンサント製の除草剤「ラウンドアップ」に耐性のある遺伝子が組み込まれた作物で、現在ダイズ、トウモロコシ、ワタ、ナタネの4種類が商品化されている。問題となっていたのはアルゼンチンからEU市場に輸入された大豆粉。モンサントが2005−06年にかけてオランダに輸入された同国産の大豆粉を調査したところ、EU域内で特許権を取得しているPRのDNA配列が確認された。このため同社は欧州の輸入業者3社を特許権侵害でハーグ地方裁判所に提訴。同裁判所が特許保護の範囲についてECJに判断を求めていた。

 ECJは判決で、DNA配列の特許権は作物の生育中にのみ有効で、GM作物の加工品に含まれる「残留状態」のDNA配列はもはや機能を果たさないため、特許保護の対象にはならないと指摘。RRダイズを原料とする大豆粉には特許権の効力が及ばないため、特許侵害を理由にEU市場でのアルゼンチン産大豆粉の流通を阻止することはできないと結論づけた。

 なお、モンサントはECJの判決に先立ち、輸入業者との間で和解に達したとしてオランダでの訴訟を取り下げ、ハーグ地裁がこれを承認している。条件面など具体的な和解内容は公表されていない。

(Bloomberg, July 6, 2010 他)

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