検索キーワードめぐる商標権侵害訴訟、グーグルが仏LVMHに勝訴

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検索キーワードめぐる商標権侵害訴訟、グーグルが仏LVMHに勝訴

 欧州司法裁判所(ECJ)は3月23日、米検索エンジン最大手グーグルの検索連動型広告サービス「アドワーズ」について、商標権で保護されている語句を「キーワード」として販売する同社の商慣行は商標権侵害にはあたらないとの判断を下した。アドワーズは広告サービスをホスティングしているにすぎず、検索結果ページに掲載されるコンテンツについて責任を負うのは広告主だとするグーグル側の主張を認めた形。ECJはそのうえで、商標権を侵害する語句が登録されていることを認識しながら放置した場合は検索エンジンに法的責任が生じる可能性があるとの見解を示し、検索エンジン側の責任の有無は各国の裁判所が個別に判断すべきだと指摘。グーグルに対する訴訟が提起されたフランスの司法当局に最終的な判断を委ねた。

 今回の事案は、仏高級ブランドのLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンがグーグルを相手取り、2004年に起こした商標権侵害訴訟。アドワーズはグーグルにとって最大の収益源になっているが、同システムでは広告主は入札方式で自由にキーワードを購入できるため、広告主が競合する企業の社名やブランド名を意図的に検索キーワードに加えたり、偽造品を販売する目的で高級ブランドの名称をキーワードとして選択するといったケースが後を絶たず、グーグルは世界各地で多くの訴訟を抱えている。LVMHはブランド所有者の許可を得ずに商標権で保護されたブランド名をキーワードとして販売するグーグルの商慣行は商標権の侵害行為にあたると主張。一審、二審ともLVMH側が勝訴したが、グーグルが判決を不服として上訴し、仏破毀院(最高裁判所に相当)がECJに判断を求めていた。

 ECJは判決で「グーグルは広告主に競合する企業の商標と一致するキーワードの購入を認めることで商標法に違反したわけではない」と説明。その一方で、「広告主はこうしたキーワードを利用して、インターネットユーザーが製品やサービスの提供者を容易に特定できない広告の掲載をグーグルに対して手配することはできない」とし、ブランド所有者から商標権侵害の申し立てがあった場合、グーグルは速やかに広告を削除しなければならないと指摘した。

(IPWorld, March 23, 2010 他)

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