ドイツの通信データ保持法に違憲判断、データ削除と管理ルールの厳格化命じる判決

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ドイツの通信データ保持法に違憲判断、データ削除と管理ルールの厳格化命じる判決

 ドイツ連邦憲法裁判所は2日、通信事業者に対し、すべての通信記録を6カ月間保持することを義務付けた法律を違憲とする判決を下した。現時点で保存されているデータを速やかに削除し、データ保持の条件を厳格化するまで法律の執行を停止するよう命じている。

 ドイツでは2006年のEU指令に基づき、07年11月に通信データ保持法が制定され、08年1月1日付で施行された。捜査機関がテロや組織犯罪への関与が疑われる人物の通信記録を入手しやすくすることを最大の目的としたもので、通信事業者に携帯電話を含む通話記録(日時や相手の電話番号)、IPアドレス、電子メールのアドレスやメールヘッダなどを6カ月間保持するよう義務付ける内容。これに対し、ドイツ国内では同ルールの導入に反対する声が高まり、プライバシー保護団体AK Vorratの主導で市民3万5,000人が法律の無効化を求める訴訟を提起。この中にはロイトホイザー・シュナーレンベルガー現司法相が含まれていた。

 裁判所は判決で、現行法ではデータ保持のセキュリティが十分とはいえず保存されたデータがどのように利用されているかも不明確で、一般市民は当局の監視下で基本的人権が制限されていると感じる可能性があると指摘。現行ルールの下でのデータ保持は「市民の重大なプライバシー侵害」につながると結論づけた。

 ただ、原告側はデータ保持法の完全な無効化を求めていたが、裁判所は通信データの保存と利用に関するルールを厳格化したうえで法律を運用すべきだとの判断を示した。具体的には

 ◆通信データを暗号化してセキュリティを強化する
 ◆データ管理の透明性を高めてデータの利用目的などが明確にわかるようにする
 ◆連邦データ保護監察官が通信データの管理プロセスに関与する体制を整える

― などの対策を講じるよう求めている。

(Spiegel Online, March 2, 2010 他)

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