公貸権に基づく補償金の適用除外、スペインの解釈に違法判決

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欧州司法裁判所は10月26日、EUが1992年に定めた「貸与権及び貸出権並びに著作権に関連した権利に関する指令」について、スペインは図書館など公共施設による著作物の無償貸与に伴う貸出権の規定を不適切な解釈に基づいて国内法に反映させ、著作権者に多大な損害を与えているとする欧州委員会の主張を認める判決を下した。
 EU指令は加盟国に著作物の貸与(レンタルビデオなど営利目的の有償貸与)及び貸出し(公共施設による公衆への無償貸与)を許諾または禁止する権利を国内法で定めるよう義務付けている。ただし、公共施設による貸出しに対して国や地方自治体などが著作権者に一定の報酬を支払う補償金制度(公共貸与権)が導入されている場合は改めて貸出権を設けなくてよいとしており(第5条1項)、さらに補償金制度による支払い義務の対象から特定の施設を除外することを認めている(同条3項)。今回の案件で問題となったのは、この特例規定。
 スペインはEU指令に沿って1994年に国内法を制定したが、その中で、美術館、博物館、公文書館、図書館、新聞ライブラリー、録音ライブラリー、ビデオライブラリー、その他教育関連施設など、幅広い分野の公共施設に5条3項の特例規定を適用している。裁判所は判決で、文化振興の名の下に著作権者の権利を犠牲にすることのないよう、同規定は「厳格に解釈されなければならない」と指摘。ほとんどすべての分野の公共施設を補償金制度の対象から除外したスペインの法律はEU指令の趣旨に反すると結論づけている。

(Managing Intellectual Property, October 26, 2006)

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