公益社団法人日本芸能実演家団体協議会(芸団協)50周年祝賀の会で野村萬会長が「公益信託“実演芸術基金”(仮)」を提案

棚野正士備忘録

棚野正士(IT企業法務研究所)

1965年12月7日に創設された芸団協が50年を迎え、2015年12月6日ヒルトン東京で「芸団協創立50周年祝賀の会」を開催した。(詳しくは芸団協ホームページ参照)

この中で、野村萬会長が従来主張している「文化行政を統一的に司る“文化省創設”」を強調するとともに下記の歴史的提案をした。

 「本日50周年の節目にあたり、ここに大事な提案を申上げたく存じます。
 誠に僭越乍ら、仮称ではありますが「芸団協 実演芸術基金」と名付けた事業を立ち上げ、私共が社会の付託に応えるべき使命を幅広い分野の方々の御協力を得て、未来に向かってその公的役割を果たして参りたい!
 また「公益信託」の制度を活用し、実演芸術の担い手の活動環境を整備する事業にも一丸となって取組んで参りたい!
 そう存念致しております事を御披露申上げさせて戴きます。
 元よりこの推進のためには、組織の内なる充実が重要である事は申し上げるまでもありません。

 能の大成者世阿弥は、芸能のあるべき姿を象徴する言葉として「花」という文字を残しております。
 「花」は舞台の理想の姿であり、私たち実演芸術に携わる者はその「花」に向かって修業を重ね、その精進を超えた先にこそ「真の花」が咲き誇るのであります。
芸能が社会において大輪の花を咲かせるためには、豊かな土壌と強靭なる根っこが不可欠であります。芸能振興の土台となる土壌作りこそが、私共芸団協の不変の志であるとの思いを新たに致しております。」

野村萬会長のこの提案は50周年に相応しいまことに時宜を得た提案である。
1980年ユネスコ総会で「芸術家の地位に関する勧告」が採択されて35年を迎え、この重要な国際文書が見直されようとしている。ユネスコ勧告を受けた具体的政策としても「基金構想」はまことに適切である。
また、著作権上で言えば、1976年芸団協が提唱して15年かけて実現した法制度である「私的録音録画補償金制度」が事実上崩壊しているいま、法制度を補完する制度として「実演芸術基金(仮)」を創設することはまさに時宜に叶うものである。私的録音録画補償金制度の最大の受益者は実演家であり、制度の成り行きは実演家に大きな不利益をもたらすからである。
その不利益を社会的に補う仕組みとして、実演家自らが“公益信託制度を活用して実演芸術の担い手の活動を整備する事業を行う”ことは世界的に評価されるべき政策である。
今後芸団協が芸団協以前の実演家組織の歴史を踏まえて未来を志向するに相応しい提案である。

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