WIPO総会が閉幕、次期事業計画及び予算などで合意できず12月に特別総会招集へ

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WIPO総会が閉幕、次期事業計画及び予算などで合意できず12月に特別総会招集へ

 第51回世界知的所有権機関(WIPO)総会が9月23日〜10月2日にジュネーブで開催され、加盟国は知的財産及び遺伝資源、伝統的知識及びフォークロアに関する政府間委員会(IGC)の交渉権限を拡大し、集中的な交渉を継続することなどで合意した。10日間にわたる総会では幅広い分野における進行中のプロジェクトや交渉に関する報告書が承認され、主要課題の多くで合意が成立した。しかし、2014−15年度のWIPO事業計画および予算を含むいくつかの項目で合意に至らず、12月中に特別総会が開催されることになった。事務局がただちに日程などの調整作業に入る。

 総会で最も調整が難航したのは、向こう2年間の事業計画および予算に関する協議。WIPO事務局は今年7月、新たに5カ国に現地事務所を開設する計画を打ち出し、総会での承認を目指していた。しかし、事務局が計画案を公表する前の段階でロシアおよび中国と契約を交わしていたことに一部の加盟国が強く反発。WIPO事務所を誘致できれば自国企業による特許取得やイノベーションの推進などにつながるため、加盟国間の利害対立が表面化して最後まで調整がつかなかった。加盟国からは事務所開設の条件や基準を定めた指針を策定すべきだとの意見が出ている。

 このほか来年以降の事業計画および予算に関連して、事務局は知的財産、気候変動、公衆衛生、食品安全など、世界的規模で対処すべき難しい課題について加盟国が直接意見交換できる場として、「WIPOグローバル・チャレンジ」と名付けた新部門の創設を提案している。
 
 12月の特別総会ではこのほか、意匠法条約に関する外交会議の開催、著作権及び著作隣接権に関する常設委員会(SCCR)の作業計画、WIPOにおけるガバナンスなどが中心的な議題となる。

(Intellectual Property Watch, October 3, 2013)

(庵研究員著)

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