米コンテンツ業界と大手ISPが著作権侵害対策で合意、共通の警告システム導入へ

海外ニュース

米コンテンツ業界と大手ISPが著作権侵害対策で合意、共通の警告システム導入へ

 米国レコード協会(RIAA)や米国映画協会(MPAA)をはじめとするコンテンツ産業の業界団体と、AT&Tやベライゾンなどの大手インターネット接続業者(ISP)は7日、著作権侵害対策に共同で取り組むことで合意したと発表した。著作権保護されたコンテンツの違法ダウンロードなどの不正行為が疑われる場合、ISPは「著作権侵害警告システム(Copyright Alert System)」と名づけた共通の枠組みに基づき、契約者に対して警告を行う。

 新たに導入される警告システムによると、ISPは「インターネットサービスのアカウントがコンテンツの不正入手に利用された疑いがある場合」、契約者に対して最大6回まで警告を行い、改善が見られない場合は回線の接続速度を落として利用できるサービスを制限するなどの措置を取ることが求められる。
RIAAやMPAAは親のアカウントで子どもが違法ダウンロードを行うなど、自分のアカウントが不正行為に使われていることに契約者本人が気づいていないケースで特に効果が期待できると説明している。

 著作権侵害警告システムは違反ユーザーに対する制裁よりも教育を目的としているため、アカウント停止までは行わない。また、ISPは違反ユーザーに関する情報を著作権者に報告する義務を負わない。一方、警告を受けたユーザーは独立した審査機関を通じて事実関係を検証することができる。さらに今回のイニシアチブに参加する団体や企業は、消費者に著作権の重要性などについて教育を施すための「著作権情報センター」を設立することでも合意した。

 コンテンツ業界はファイル共有ソフトのナップスターが登場した1990年代後半からさまざまな著作権侵害対策に取り組んでおり、特にRIAAは悪質なファイル共有ユーザーなどを相手取り、2008年までの5年間に3万件を超える訴訟を起こした。しかし、増え続ける違法ダウンロードに歯止めをかけることはできず、RIAAは同年12月に個人ユーザーに対する訴訟を取り下げ、それ以降はISPとの連携を強化して著作権侵害対策を進める戦略に転換している。

(Mediapost Publications, July 8, 2011 他 )

(庵研究員著)

コメントを投稿する




*

※コメントは管理者による承認後に掲載されます。

トラックバック