アイルランド最大手ISP、音楽の違法ダウンロード対策に着手

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アイルランド最大手ISP、音楽の違法ダウンロード対策に着手

 アイルランドの通信最大手エアコムは5月24日、音楽の違法ダウンロードをくり返す加入者に対し、3回目の警告でインターネット接続を切断する措置を導入する方針を明らかにした。著作権保護された音楽ファイルを違法ダウンロードしたユーザーはエアコムから書面、メール、電話などで警告を受け、3回目の違反が判明した時点で向こう1年間にわたりネット接続が切断される。

 音楽・映画業界を中心に、インターネット接続業者(ISP)に対してネット上の著作権侵害を防ぐための具体的措置を求める声が高まるなか、エアコムは昨年、アイルランドレコード音楽協会(IRMA)との間で「段階的応答(graduate response)手続き」と呼ばれるスキームを導入することで合意した。これはフランスなどで導入されている「スリーストライク」と同様のメカニズム。ISPがユーザーの行動を監視する同スキームについて、データ保護当局は個人情報保護ルールに抵触するとして差し止めを命じたが、最高裁判所はIPアドレスは個人情報とはいえないとの判断を示し、段階的応答措置を合法と認定した。

 エアコムは週当たり50件のペースで違法ユーザーに対して警告を行う方針を示しているが、無作為に抽出されたユーザーが監視対象となるため、同一ユーザーが3回目の警告を受ける確率は極めて低い。有力調査会社フォレスター・リサーチのマーク・マリガン氏は「現行のメカニズムでは取り締まりの実効性は極めて乏しく、エアコムは他のISPに加入者を奪われることになりかねない」と指摘している。エアコムにとって最大のライバルであるUPCはユーザーの行動を監視する法的根拠がないとの立場をとり、ISPにネット上に
おける著作権侵害の責任を負わせようとする音楽・映画業界の要求には応じない姿勢を示している。

(European Digital Rights, June 2, 2010 他)

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