グーグルの検索キーワード販売は商標権侵害にあたらず、ECJ法務官が見解

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グーグルの検索キーワード販売は商標権侵害にあたらず、ECJ法務官が見解

 欧州司法裁判所(ECJ)は9月22日、米検索エンジン最大手グーグルの検索連動型広告サービス「アドワーズ」について、商標権で保護されているブランド名を「キーワード」として販売する行為は商標権侵害にはあたらないとの法務官見解を明らかにした。グーグルは仏高級ブランドのルイヴィトンがフランスで起こした商標権侵害訴訟で敗訴したが、判決を不服として上訴し、仏最高裁判所がECJに判断を求めていた。ECJはおよそ80%のケースで法務官の意見に沿った判断を示しており、グーグルに有利な判決が言い渡される公算が大きい。

 アドワーズはグーグルの検索結果に連動して広告を掲載するサービス。広告主はまず、掲載したい広告に関連のあるキーワードを選択し、専用の管理画面から広告とキーワードを登録する。ユーザーがそのキーワードに近い語句を使って検索すると、検索結果ページに広告が表示される仕組み。検索された語句と広告を連動させることでユーザーの関心に合った広告の表示が可能になり、高い広告効果が得られる。このため多くの企業がアドワーズを導入しており、同サービスはグーグルにとって最大の収益源になっている。

 ただ、アドワーズのシステムでは広告主は入札方式で自由にキーワードを購入できるため、広告主が競合する企業の社名やブランド名を検索キーワードに加えたり、偽造品を販売する目的で高級ブランドの名称をキーワードとして選択するといったケースが後を絶たず、グーグルは世界各地で多くの訴訟を抱えている。ルイヴィトンはブランド所有者の許可を得ずに商標権で保護されたブランド名をキーワードとして販売するグーグルの商慣行は商標権の侵害行為にあたると主張し、2004年に同社を提訴。フランスでは一審、二審ともルイヴィトン側の主張を認める判決が出ていた。

 ECJのミゲル・ポヤレス・マドゥーロ法務官は意見書で「検索キーワードとして商標権で保護された語句を広告主が選択するのを許可することで、グーグルが(ルイヴィトンの)商標権を侵害したとはいえない」と指摘。商標権で保護された語句をキーワードとして販売する行為を差し止めることはできないとの見解を示した。同法務官はそのうえで、広告主が偽造品を販売する目的でブランド名などを検索キーワードとして選択し、アドワーズ広告によって損害を受けたことをブランド所有者が証明できれば、グーグルによる商標権侵害が成立するとつけ加えた。

(IP World, 23 September 2009 他)

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