仏で違法ダウンロード規制法が可決・成立、ネット切断は裁判所に判断権限

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仏で違法ダウンロード規制法が可決・成立、ネット切断は裁判所に判断権限

 仏国民議会(下院)は9月22日、インターネット上の著作権侵害を取り締まるための規制法の修正案を賛成多数で可決した。同法案は前日に上院で可決されており、来年1月から施行される。違法ダウンロードの常習者に対し、インターネット接続の切断を含む厳しい措置が講じられることになる。

 違法ダウンロード規制法は、増え続ける海賊行為の影響で苦境に立つ映画・音楽業界の要請を受けたサルコジ大統領が制定を強く支持していた。修正前の法案は、違法ダウンロードを繰り返すユーザーに対してインターネット接続業者(ISP)が警告を行い、3回目に違反行為が発覚した時点で、新たに設置する行政機関「HADOPI」がISPにアカウントのはく奪を命じることができるという内容。該当するユーザーは最大1年間にわたってインターネットへのアクセスを切断され、この間は他のプロバイダーと新たに契約を結ぶこともできない。同法案は今年5月に議会で可決され、成立した。

 しかし、違憲審査機関の憲法評議会は6月、違法ダウンロードの常習者に対し、行政機関の権限でネット接続を切断できるとした条項は憲法に違反するとの判断を示した。評議会は、現代社会においてインターネットへのアクセスは「フランス人権宣言が基本的人権の1つと定める表現の自由に含まれる」と表明。また、裁判所ではなく、行政機関の判断でネット接続を切断することは、同じく人権宣言が定める「推定無罪の原則にも反する」と指摘し、法改正が必要と結論づけた。

 修正後の規制法によると、違法ダウンロードを3回繰り返したユーザーは、ネット接続を切断されるか、2年以下の禁固刑または最大30万ユーロの罰金が科される。その際、ネット接続を切断するかどうかは裁判所の判断に委ねられる。また、ユーザーへの監視義務を怠り、違法ダウンロードを阻止できなかった事業者に対しては、1,500ユーロの罰金と1カ月の業務停止が命じられる可能性がある。

(AFP, September 22, 2009 他)

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