EUが私的録音・録画補償金制度めぐり公聴会、制度調和の方向で一致

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 欧州連合(EU)は5月27日、ブリュッセルでEU各国が導入しているデジタル方式の機器・媒体を利用した私的録音・録画に対する補償金制度に関する公聴会を開いた。
各国の著作権管理団体と家電メーカーはEU全域で制度を統一することは現実的に難しいものの、共通の基準に沿って国ごとに大きく異なる補償金の額を一定の水準に調和させる必要があるとの認識で一致。欧州委員会に調整を委ねることで合意した。
欧州委は年内に専門家15人で構成する作業部会を立ち上げ、各方面からの意見を参考に補償金の算定基準や対象機器などについて検討を進める。
 私的録音・録画補償金制度は著作物の私的な使用を目的とした録音・録画に対し、権利者に一定の補償金を支払う制度。EU諸国では幅広いデジタル機器を対象に、販売価格に一定の金額を上乗せするシステムが導入されているが、国によって対象となる機器や補償金の額にばらつきがあり、産業界ではこうした国による制度の違いが単一市場のメリットを損なっているといった批判が高まっている。
 こうしたなかで欧州委は今年2月、域内における制度統一の可能性を探るため、現行制度の見直しに着手。4月18日まで著作権管理団体、メーカー、消費者団体などから意見募集を行い、各方面が議論の方向性について話し合うため公聴会を開いた。
マクリービー欧州委員(域内市場・サービス担当)は「権利団体とメーカー側は合意点を見つけて議論を前に進める必要がある。今回の公聴会が補償金制度の見直しに向けたプロセスの出発点となることを希望する」と述べた。

(Managing Intellectual Property, June 2, 2008)

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