グーグルが欧州で個人情報削除要請の受付開始、「忘れられる権利」容認判決に対応

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 米インターネット検索大手グーグルは5月30日、欧州の利用者を対象に、検索結果に含まれる個人情報へのリンクの削除要請を受け付けるサービスを開始した。EU司法裁判所が5月半ば、ネット上におけるプライバシー保護の観点から、利用者が検索結果に表示された自分に関する情報の削除を求める「忘れられる権利」を認める判決を出したのを受けた措置。グーグルは専門委員会を設置して削除要請に対応するとしており、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、実際に情報が削除されるのは6月中旬以降になる見通しだ。

 グーグルは専用サイトを開設し、希望者から削除要請の受け付けを開始した。削除の対象はEU内のグーグルサイトに限定され、専門委のメンバーが申請内容を審査し、「知る権利」とのバランスなどを考慮して削除するか
どうかを判断する。削除されるのは検索結果に表示されるリンクのみで、リンク先の情報自体は残る。

 EUではネット上における個人情報保護の強化を目的として、オンラインサービスの利用者が事業者に自分に関するデータの削除を要求できる「忘れられる権利」を認める規則の導入が検討されている。EU司法裁の判決はこれを先取りして利用者の権利を認めたかたちで、市民の知る権利や表現の自由とプライバシー保護のバランスについて判断を示した事案として世界的に注目を集めている。

 欧州委員会はグーグルの対応を歓迎している。レディング副委員長(司法・基本的権利・市民権担当)はFT紙の取材に対し、実際に個人情報の削除要請がどのように処理されるのかを慎重に見極める必要があるとしたうえで、「(グーグルが)ようやく個人情報保護に向けた革新的な解決策への投資に踏み切ったことは正しい方向性といえる」とコメントしている。

(Financial Times, May 30, 2014 他)

(庵研究員)

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