棚野氏の問題提起を読んで
芸団協は創立以来、実演家の社会地位や福祉関係や特に著作隣接権の面で、色々な問題を抱えて、これまで成功を収めてきたと思います。
なぜ、昨年12月に臨時総会で協議の上で否決された議題をたった一ヶ月後にまた臨時総会にかける必要があったかということを疑問に思います。芸団協の基本財産の取り崩しは、棚野氏が指摘したように、それなりのやむ得ない理由がなければできない事でありますが、二回も臨時総会にかけるなら、どうしても自分の基本財産を建設事業に投資する必要があるかのようにしか読み取れません。つまり、独立行政法人新国立劇場やほかの団体の稽古場を建てるために、協議会自体が生んだ資金の基本を手放すぐらいの重要な理由があるはずです。オペラ歌手に稽古場を提供するのは称賛すべきですが、しかし、例えば現代演劇の団体等、稽古場に困っている実演家団体はほかにもいるはずですので、この施設建設計画にそれらの団体がそう簡単に賛成しないはずだと思います。何ゆえ、第二の臨時総会の開催になったのでしょうか。
それとも、その計画の裏にお金儲けの何かが潜んでいるのでしょうか。単純に考えて見れば、著作権隣接権センターのために大儲けをして、その利益を実演家の全てのために使うなら納得ができますが、元々芸団協は利益を重ねる事業をすることも、その目的もなかったと思われます。
という事は、やっと第二臨時総会で決議された提案の意味、それの実演家のメリットは何なのかが興味深いです。
芸団協が基本の財産を取り崩しただけではなく、組織自体の基本を壊したのではないですか。一回否決された提案を通すまで総会で投票に付する事は、会員団体の最初の決定を無視するだけではなく、それらの判断力を尊敬しない事を意味します。こんな行動は、民主主義国家の文化庁の指定団体に相応しい行為であるかどうか疑問です。
その上、十年前に開会された新国立劇場に一番初めに(1998年)開いた研修事業がオペラ歌手の養成事業でした。建てたばっかりの劇場に稽古場が足りないのが理解しづらい事です。運営方針が十年経ってから変更され、今の施設の状況と適合しないという事でしたら、元々のコンセプトは長期的なヴィションがなかったかもしれません。
さらに、文化庁は民間団体が基本財産を取り崩す上で、国立文化施設の事業を計画することも分かりにくいです。棚野氏が指摘したように何かの誤解のようにしか思いたくありません。
そして、もし日本の文化政策は、民間の資金を必要とする文化振興企画を進む傾向にあれば、ほかの方法が可能である事は述べるまでもありません。例えば、アメリカ合衆国の文化界内で大いに運営されるように、税負担の軽減という事も考えられます。
政府機関所管下の団体が、その機関下の事業のために、団体自体が唱えた基本方針から離れ、それを否定してしまう事を、政府機関は許すのでしょうか。文化行政に対する疑念が余儀なくされます。
芸団協臨時総会出席者-2「つ wrote:
〈除名事由〉
1.について
「権利者に分配しないで放置した」とありますが、当協会の内部事情、方針もあり、多少遅延したことは認めますが、分配は続けていました。
遅延の主な理由は、貴構成団体の演奏家グループが、ある使用料について全面個人分配がされた平成12年、13年、14年度において25%しか分配していない事実。又10億20億という高額な分配を受ける事業者団体などの分配方法にも疑念を抱いたため、当協会が実演家との対応に戸惑っていたことによります。
また文化庁の検査時点で丸2年経ていますから、放置したと思われるのは当然ですが、貴協議会CPRAが保留している期間ほどまでは、放置いたしておりません。
2.について
提出した「日音協委任者リスト」とありますが、この様なリストを提出した覚えはありません。
私が提出したのは「ジャズ系レコーディング参加者名簿」「公演出演者名簿」であります。これは大事な問題ですので、私が提出したといわれる「日音協委任者リスト」のご提出を逆にお願いしたいと思います。
また、「権利者からの委任関係を明確にする資料の提出を要請した」とありますが、何時の要請かまた文書があれば写しなどをお示し下さる様お願い致します。それぞれについて答えていますし、要請は無かったと思います。
3.について
「金員の一部を事業費等に流用した」とありますが、貴協議会から振込まれる金員・分配金・団体分配金・業務分配手数料・補助金等はすべて同一銀行口座にて処理されている為、誤解を招いたようです。当協会では団体として使用すべき範囲で運用しております。
今後誤解を招かぬ様、権利者への分配・業務手数料・出金などを明確にして別口座にトップオフし処理してまいります。
以上を私の回答とさせて頂きますが、ご承知の如く当協会は昭和40年、貴協議会の設立発起人であり、昭和45年、実演家のための著作隣接権の立法、施行に尽力した団体であり、しかも本件に関わる時期は、当協会専務理事 故笈田敏夫は貴協議会の副会長でもありました。
このような立場にあるものが、法人の名誉を傷つけるような事をする筈がありませんし、また本件は分配金のトラブルから生じた問題であり、
貴協議会定款第10条第3項に定める「この法人の名誉を傷つけ、またはこの法人の目的に反する行為のあったとき」との除名事由には全く該当致しません。
よって除名決議の撤回を求めると共に、当協会の地位確認及び本闘争以前の分配権利保持の確認決議を強く求めるものであります。 以上
その後も質疑応答が多々あり、その後採決となり、賛成22、反対1、棄権33でこの議案は否決となりました。