LAIT NEWS

No.175:バックナンバー

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■LAIT News【Vol.175 2011/7/20号】

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1.LAIT活動報告
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LAITセミナーについてお知らせします。

■■最新の活動報告■■
「インターネット上の著作権侵害者に対するアクセス切断およびサイト閉鎖」は
好評のうちに終了いたしました。
たくさんの方にご来場いただき誠にありがとうございました。

■■8月の活動予定■■
演題: 「イギリスにおける知財制度改革の最新動向」
―ハーグリーヴス・レビュー(2011年5月)の勧告を中心に―
講師: 今村 哲也(イマムラ テツヤ)氏
  明治大学 情報コミュニケーション学部 准教授
概要: イギリスは2006年の政府の諮問による報告書(ガワーズ・レビュー)以降、
知財制度の改革に取り組んできたが、つい先日、2011年5月に公表された
新たな報告書(ハーグリーヴス・レビュー)では、「時代遅れ」の知財関連法
が「イギリスのイノベーションと経済成長を妨げている」と明確に述べ、
イギリスの知的財産政策に対する10項目の大胆な施策を提示した。これを
実行することで、79億ポンド(約1兆378億円。1ポンド=131.36円)の
経済効果が得られるという。
同報告書は次の10項目の施策に関して勧告を行っている(内容は概略)。
1.証拠:知財制度は可能な限り計量可能な客観的証拠に基づいて
設計されるべき
2.国際的な優先課題:欧州特許制度・特許裁判所の一元化やPCTの
強化など 
3.著作権ライセンス:デジタル著作権取引所(Digital Copyright
Exchange)の創設により著作物の利用を許諾できるオンライン取引
制度の導入など
4.孤児著作物:拡大集中許諾制度の導入など
5.著作権の制限:フォーマットシフト、パロディ、非商業的調査、
図書館アーカイブ等に関する著作権の例外規定の導入
6.特許の藪その他のイノベーション障害事項:特許庁間のワークシェア
で主導的立場をとる、現在特許のない分野に明確な便益なしに特許
を拡大しない、特許の藪問題を解決する方策を検討することなど
7.デザイン産業:デザインとイノベーションの関係を証拠に基づいて
評価することなど
8.知的財産権のエンフォースメント:教育による啓蒙、違法な市場に
代わる有効な市場の創出、適切なエンフォースメント体制、著作権法
の改革を総合的に行うことなど
9.中小企業への知的財産に関するアドバイスへのアクセス
10.変化に対応できる知財制度:政策実現に関する知的財産庁の
権限強化など
今回のセミナーでは、この新しいハーグリーヴス・レビューを中心に、
デジタル化時代に向けた知的財産法のあり方を模索するイギリスの動向を
紹介することで、我が国にも存在するはずの類似の課題に対する示唆を
得たいと考えている。
日時: 平成23年8月1日(月)午後1時30分〜午後3時30分 [注]月曜日開催  
場所: 「アビタス 八重洲」セミナールーム3
中央区日本橋3−6−2 日本橋フロント4階「アビタス」
    (JR東京駅八重洲口徒歩5分、東京メトロ銀座線・東西線日本橋駅
    B1出口徒歩2分:中央通りと八重洲通りの交差点(日本橋3丁目)
      からタカシマヤ寄り二つ目のビル)
参加費: 3,000円(税込)
申込: http://www.lait.jp/laitseminar.php?itemid=751

[注] 諸事情により、参加費が有料(3,000円)となりますので、ご了承ください。

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2.海外の注目ニュース
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海外の注目の最新ニュースをお知らせします。

■■米コンテンツ業界と大手ISPが著作権侵害対策で合意、
共通の警告システム導入へ■■
●米国レコード協会(RIAA)や米国映画協会(MPAA)をはじめとするコンテンツ
産業の業界団体と、AT&Tやベライゾンなどの大手インターネット接続業者(ISP)は
7日、著作権侵害対策に共同で取り組むことで合意したと発表した。著作権保護
されたコンテンツの違法ダウンロードなどの不正行為が疑われる場合、ISPは
「著作権侵害警告システム(Copyright Alert System)」と名づけた共通の枠組みに
基づき、契約者に対して警告を行う。
 新たに導入される警告システムによると、ISPは「インターネットサービスの
アカウントがコンテンツの不正入手に利用された疑いがある場合」、契約者に
対して最大6回まで警告を行い、改善が見られない場合は回線の接続速度を
落として利用できるサービスを制限するなどの措置を取ることが求められる。
RIAAやMPAAは親のアカウントで子どもが違法ダウンロードを行うなど、自分の
アカウントが不正行為に使われていることに契約者本人が気づいていない
ケースで特に効果が期待できると説明している。
 著作権侵害警告システムは違反ユーザーに対する制裁よりも教育を目的として
いるため、アカウント停止までは行わない。また、ISPは違反ユーザーに関する
情報を著作権者に報告する義務を負わない。一方、警告を受けたユーザーは
独立した審査機関を通じて事実関係を検証することができる。さらに今回の
イニシアチブに参加する団体や企業は、消費者に著作権の重要性などについて
教育を施すための「著作権情報センター」を設立することでも合意した。
 コンテンツ業界はファイル共有ソフトのナップスターが登場した1990年代後半
からさまざまな著作権侵害対策に取り組んでおり、特にRIAAは悪質なファイル
共有ユーザーなどを相手取り、2008年までの5年間に3万件を超える訴訟を
起こした。しかし、増え続ける違法ダウンロードに歯止めをかけることはできず、
RIAAは同年12月に個人ユーザーに対する訴訟を取り下げ、それ以降はISPとの
連携を強化して著作権侵害対策を進める戦略に転換している。
(Mediapost Publications, July 8, 2011 他 )

■■デジタル音楽配信の英スポッティファイが米国進出、
無料サービスの制限で大手レコード会社に「譲歩」■■
●デジタル音楽サービスの英スポッティファイ(Spotify)は14日、同日から米国で
サービスを開始すると発表した。2008年にスウェーデンで誕生したスポッティファイ
は欧州7カ国で定額制の音楽ストリーミングサービスを展開しており、米国が8番目
の市場となる。同社は09年にも最大のデジタル音楽市場である米国に参入すると
みられていたが、著作権侵害を警戒する大手レコード会社との交渉が難航して
計画が遅れていた。
 スポッティファイの登録ユーザーは現在およそ1,000万人。このうち約840万人は
広告付きの無料サービスを利用しており、広告が付かない有料サービスの利用者
は160万人ほど。ユーザーは1,500万曲を超えるライブラリから好きな楽曲を選んで
ストリーミング再生できるほか、プレイリストを作成してFacebookやTwitterなどで
友人と共有することもできる。
 同社は今年5月に無料サービスの利用条件を変更し、1カ月の再生時間を最大
10時間に制限するとともに、1曲あたりの再生回数を5回までとする新たな制約を
設けた。当然ながらこれはユーザーの強い反発を招いたが、市場関係者の間では
米国進出を踏まえた措置だったとの指摘がある。違法ダウンロードに神経を
尖らせる大手レコード会社は、たとえ広告付きの合法サービスであっても無料で
楽曲を提供するスポッティファイのビジネスモデルに批判的。このため、無料
サービスに対する新たな制限は大手4社(ユニバーサル、ソニー、EMI、
ワーナーミュージック)との交渉をまとめるための「譲歩」だったいう分析だ。
 発表によると、米国でのサービスプランは無料の「Spotify Free」、月額4.99ドル
の「Spotify Unlimited」、月額9.99ドルの「Spotify Premium」の3種類。広告付きの

フリープランは招待制となる。アンリミテッドは広告なしですべての機能にアクセス
することができ、再生時間や回数の制限もない。さらにプレミアムはパソコンに
加え、スマートフォンなどのモバイル端末によるサービス利用が可能だ。
 国際レコード産業連盟(IFPI)によると、欧州のデジタル音楽市場で
スポッティファイは米アップルの「iTunes」に次いで2位につけている
(売上高ベース)。ただ、米国では先行するパンドラやラプソディーなどがすでに
強固な基盤を築いているほか、アマゾンとアップルがクラウドベースの音楽配信
サービスに着手。間もなくグーグルも同分野に進出するとみられている。
(The Guardian, July 14, 2011 他)

(庵研究員著)

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3.政府・団体の動向
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政府・団体の動向に関する最新記事の抜粋です。
詳細の横のURLをクリックすることで記事全文を示したページにアクセスできます。

■■情報セキュリティ法務関連政府・団体の動向■■

●7月6日、情報処理推進機構が「DNS サーバ BIND の脆弱性(CVE-2011-2464)
について」を公開
詳細:http://www.ipa.go.jp/security/ciadr/vul/20110706-bind9.html

●7月12日、情報処理推進機構が「Twitterを利用した脆弱性対策情報の発信を
開始」を公開
詳細:http://www.ipa.go.jp/about/press/20110712.html

●7月12日、日本情報経済社会推進協会が『(平成22年度)「個人情報の取扱い
における事故報告にみる傾向と注意点」』を公開
詳細:http://privacymark.jp/reference/pdf/H22JikoHoukoku_110712.pdf
(注:PDFファイル)

■■コンテンツビジネス法務関連政府・団体の動向■■

●7月7日、コンピュータソフトウェア著作権協会が「Shareを通じてアニメと漫画を
アップロード、会社役員男性を送致」を公表
詳細:http://www2.accsjp.or.jp/criminal/2011/1145.php

●7月11日、コンピュータソフトウェア著作権協会が「オンラインストレージで
アニメと特撮作品を違法アップロード、未成年者4名を書類送致」を公表
詳細:http://www2.accsjp.or.jp/criminal/2011/1146.php

●7月11日、日本音楽著作権協会が「福岡県警と筑紫野署がレンタルストレージ
サービス上で動画を違法共有させるサイトを運営していた2者を書類送致、
ストレージサービス運営事業者にも警告」を公表
詳細:http://www.jasrac.or.jp/release/11/07_1.html

●7月12日、ビジネス ソフトウェア アライアンスが「BSAメンバー企業の2社が
関東地方所在の法人(業種:不動産・建設業)と和解」を公表
詳細:http://www.bsa.or.jp/press/release/2011/0712.html

●7月14日、コンピュータソフトウェア著作権協会が「オークションでポータブル
ナビソフトの海賊版を販売、専門学校講師男性を逮捕」を公表
詳細:http://www2.accsjp.or.jp/criminal/2011/1147.php

■■産業財産権法務関連政府・団体の動向■■

●7月11日、特許庁が「産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会
審査基準専門委員会」を更新
詳細:http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/shinsakijyun_menu.htm

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4.セミナー情報
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最新のセミナー情報をお知らせいたします。
詳細の横のURLをクリックすることでセミナー詳細情報を示したページにアクセス
できます。

■■情報セキュリティ法務関連セミナー情報■■

演題:在宅勤務のセキュリティを考える!
〜JNSAガイドブックの解説と事例セミナー〜
日時:平成23年8月3日
主催:日本ネットワークセキュリティ協会
詳細:http://www.jnsa.org/seminar/2011/0803/index.html

■■コンテンツビジネス法務関連セミナー情報■■

演題:「2011年 JEPA著作権セミナー」後期(3回)
著作権をめぐる重大トピックス
日時:平成23年7月27日、9月7日、9月28日
主催:日本電子出版協会
詳細:http://www.jepa.or.jp/seminar/seminar.php?id=173

演題:2011年度 著作権実務講座
日時:平成23年7月29日
主催:日本書籍出版協会
詳細:http://www.jbpa.or.jp/pdf/documents/chosaku2011.pdf
(注:PDFファイル)

演題:2011年8月著作権研究会
「民法の一般不法行為法による著作権法の補完の可能性について」
日時:平成23年8月17日
主催:著作権情報センター
詳細:http://www.cric.or.jp/seminar/seminar1108.pdf
(注:PDFファイル)

演題:Next Generation Data Center 2011
日時:平成23年8月31日、9月1日
主催:Computerworld / CIO Magazine
詳細:http://www.idg.co.jp/expo/ngdc/2011/

■■産業財産権法務関連セミナー情報■■

演題:平成23年度知的財産権制度説明会(初心者向け)開催について
日程:7月〜9月
主催:特許庁、各経済産業局及び内閣府沖縄総合事務局
詳細:http://www.jpo.go.jp/torikumi/ibento/ibento2/beginner.htm

演題:改正特許法の評価と課題
−実務・理論の両面から−
日時:平成23年8月3日
主催:明治大学知的財産法政策研究所
詳細:http://www.kisc.meiji.ac.jp/~ip/h2308sympo.htm

演題:知財塾 in 城東(全3日間) 〜企業経営に貢献する知的財産〜
日程:平成23年9月2日、9日、16日
主催:東京都知的財産総合センター
詳細:http://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/seminar/chizaijyukujyoto.html

演題:知的財産活用検討研修(第1回)
日時:平成23年9月13日
主催:工業所有権情報・研修館
詳細:http://www.inpit.go.jp/jinzai/kensyu/venture/katsuyo/230913kensyu_katsuyo.html

*詳細は、主催団体のHPへのリンクです。リンク先のコンテンツの内容・著作権等
に関しては、各リンク先にお問い合わせください。

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5.事務局からの連絡
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●次号は、2011年8月5日頃発行の予定です。
●ご意見、ご要望は事務局までどうぞお寄せください。
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■本メールは、IT企業法務研究所の会員様およびLAIT NEWS登録会員様に
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よって会員がいかなる損害を受けた場合であっても研究所は一切の責任を
負いかねます。
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【発行元】
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(Legal Affairs on Information Technology Institute:LAIT) 
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【お問合せ先】 IT企業法務研究所 事務局
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