LAITセミナー

イギリスにおける知財制度改革の最新動向 ―ハーグリーヴス・レビュー(2011年5月)の勧告を中心に―

日時 概要
08月01日
月曜日
13:30

15:30
イギリスは2006年の政府の諮問による報告書(ガワーズ・レビュー)以降、知財制度の改革に取り組んできたが、つい先日、2011年5月に公表された新たな報告書(ハーグリーヴス・レビュー)では、「時代遅れ」の知財関連法が「イギリスのイノベーションと経済成長を妨げている」と明確に述べ、イギリスの知的財産政策に対する10項目の大胆な施策を提示した。これを実行することで、79億ポンド(約1兆378億円。1ポンド=131.36円)の経済効果が得られるという。同報告書は次の10項目の施策に関して勧告を行っている(内容は概略)。

1.証拠:知財制度は可能な限り計量可能な客観的証拠に基づいて設計されるべき
2.国際的な優先課題:欧州特許制度・特許裁判所の一元化やPCTの強化など
3.著作権ライセンス:デジタル著作権取引所(Digital Copyright Exchange)の創設により著作物の利用を許諾できるオンライン取引制度の導入など
4.孤児著作物:拡大集中許諾制度の導入など
5.著作権の制限:フォーマットシフト、パロディ、非商業的調査、図書館アーカイブ等に関する著作権の例外規定の導入
6.特許の藪その他のイノベーション障害事項:特許庁間のワークシェアで主導的立場をとる、現在特許のない分野に明確な便益なしに特許を拡大しない、特許の藪問題を解決する方策を検討することなど
7.デザイン産業:デザインとイノベーションの関係を証拠に基づいて評価することなど
8.知的財産権のエンフォースメント:教育による啓蒙、違法な市場に代わる有効な市場の創出、適切なエンフォースメント体制、著作権法の改革を総合的に行うことなど
9.中小企業への知的財産に関するアドバイスへのアクセス
10.変化に対応できる知財制度:政策実現に関する知的財産庁の権限強化など
 今回のセミナーでは、この新しいハーグリーヴス・レビューを中心に、デジタル化時代に向けた知的財産法のあり方を模索するイギリスの動向を紹介することで、我が国にも存在するはずの類似の課題に対する示唆を得たいと考えている。

講師紹介

今村 哲也(イマムラ テツヤ)氏
明治大学 情報コミュニケーション学部 准教授

開催概要

名称: 『イギリスにおける知財制度改革の最新動向 ―ハーグリーヴス・レビュー(2011年5月)の勧告を中心に―』
日時:
(13時10分より受付開始)
会場:
【現地会場】「「アビタス」セミナールーム3」
東京都中央区日本橋3-6-2日本橋フロント4階「アビタス」
(JR東京駅八重洲口徒歩5分、東京メトロ銀座線・東西線日本橋駅
B1出口徒歩2分:中央通りと八重洲通りの交差点(日本橋3丁目)からタカシマヤ寄り 二つ目のビル)

「アビタス」セミナールーム3の地図