LAIT NEWS

No.215:バックナンバー

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■LAIT News【Vol.215 2013/3/21号】

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1.LAIT活動報告
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LAITセミナーについてお知らせします。

■■最新の活動報告■■
「クラウド環境における法律問題
−契約と知財侵害の準拠法と裁判管轄権−」は好評のうちに終了いたしました。
たくさんの方にご来場いただき誠にありがとうございました。

■■4月の活動予定■■

演題: 「パブリシティの権利の法社会学的考察」
講師: 錦織 淳(にしこおり あつし)氏
弁護士、一般社団法人日本音楽事業者協会顧問
概要: パブリシティの権利の観念は,アメリカのコモンロー上生成された
The Right of Publisityを我が国に輸入したものである(阿部教授他の功績)。
それは,まぎれもなく財産権であった。
     その後我が国でもパブリシティの権利が判例法上認知されていくことに
なるのだが,当所は財産権としての理解が主流であるかの如くみえた。
ところ が,その後氏名・肖像権との概念的区別が整理されないまま
肖像パブリシティ権なる用語が定着する一方で,いつの間にやら人格権利
理解が判例の主流に浮上してきたようだ。
 先般のピンクレディ事件の最判は,最高裁として初めてパブリシティ権を
   真正面から肯定したものだが,これによってこの権利は不動のものとして
確立された一方で,この権利の法的性格や妥当領域について多くの課題を
投げかけることとなった。
この最判は,パブリシティの権利がいかなるものかにつき興味深い視点を
提供してくれているものの,最判の理由を検討する限り種々の概念が
未整理のまま混在しており,問題は投げ出されたままのように思われる。
さて,それでは今後どうしたらよいかということだが,肝心なことは,徒らに
観念論に走らず,概念法学の弊に陥らないことである。
 私は,二十五年前音事協の顧問に就任したが,最初の仕事は
「専属芸術家統一契約書」の見直しということだった。そこで,アーティストと
プロダクションの機能・役割分担につき徹底的な実態調査・分析を行った。
そして,専属契約の究極の目的は「アーティストのパブリシティ価値の形成・
維持」にあるとの結論に至った。
 その後音事協に加わった湯浅氏による「日米音楽・アーティストビジネス
の比較研究」は,われわれの研究成果に磨きをかけた。つまり,日本型
プロダクションの役割の本質をとことん追求していくなかで,アーティス トの
パブリシティ価値の本質がなんであるかを端的に把えることが出来た。
 つまり,アーティストのパブリシティ価値とは,プロダクションとの協同作業
によって生み出された商業的価値(財産的価値)」にほかならない。
 翻って,我が国においてパブリシティの権利がどのような場面で論じられて
きたかというに,それはキャラクターグッズなどの不正使用対策であり,
いわば海賊版対策であった。そのため,パブリシティの権利は,あくまで
「被害救済法」として発展せざるをえなかった。そこに差止請求の根拠として
人格権に傾斜していくという流れが生まれた。
しかし,実はそこに重大な落とし穴があった。そのことを端的に明らかに
したのは,プロ野球選手会訴訟であった。ゲームメーカーのコナミは,
パブリシティの権利の「正当な取引」をするためには誰と(どこと)契約すれば
よかったのか。この単純・素朴にして最も基本的な問いかけに,我が国の
パブリシティ権理論は正面から答えることが出来なかった。
まともな「取引ルール」即ち正当な「パブリシティ権の許諾・権利処理ルール」
があってこそ,初めて「パブリシティの権の取引市場」が成立する。また,
そのような取引市場が存在するからこそ,「海賊版」対策が問題になる
はずである。しかし,我が国の法学界において誰もこのことを真正面から
論じた者はいない。まことに奇妙なことではないか。
「被害救済法から取引法へ」―これがパブリシティの権利について私の
提起する命題である。この課題は観念的なものではなく,きわめて実践的な
ものである。この課題に真正面から取り組んでいけば,パブリシティの権利
の本質はもちろん,その妥当領域もおのずと明らかになるのである。
日時: 平成25年4月18日(木)午後2時00分〜午後4時00分 [注]時間変更あり
場所: 蚕糸会館6階 第一会議室
千代田区有楽町一丁目9番4号
    (JR有楽町駅 徒歩2分、東京メトロ日比谷線・千代田線・都営三田線
日比谷駅 徒歩2分)
参加費: 3,000円(税込)
申込:http://www.lait.jp/laitseminar.php?itemid=863

[注] 諸事情により、参加費が有料(3,000円)となりますので、ご了承ください。

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2.海外の注目ニュース
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海外の注目の最新ニュースをお知らせします。

■■英TVCatchupの地上波テレビ同時送信サービス、
   EU司法裁が著作権侵害と認定■■
●欧州連合(EU)司法裁判所は7日、地上波テレビ放送を許可なくインターネットで
同時送信する行為は著作権侵害にあたり違法との判断を示した。
 今回の事案は英民放ITV、Channel 4、Channel5が2010年、地上波テレビの無料
ストリーミングサービスを提供する英TVCatchupを著作権侵害で提訴し、
英高等法院がEU法との整合性について司法裁に判断を求めていたもの。
高等法院は司法裁の見解に沿って判決を下すことになる。
 TVCatchupは英国で最も人気の高い動画配信サイトの1つで登録ユーザー数は
およそ1,200万人に上る。同サイトでは訴えを起こしたITVなど3社に加え、BBCや
Daveなど50以上の地上波チャンネルをライブでストリーミング配信しており、
ライセンス料(受信料に相当)を納めてテレビライセンス(受信許可証)を取得した
英在住のユーザーは無料で番組を視聴できる。TVCatchupは広告収入を資金源
としており、テレビ局側はTVCatchupが自社のコンテンツを利用して広告収入を
得ている点も問題視している。
 司法裁は著作権者であるテレビ局には第3者による番組の再送信を阻止する
権利があり、インターネットを介した番組配信も不特定多数の公衆に対する情報の
送信に該当するため、事業者はテレビ局の許諾を得なければならないと指摘。
無断で番組を同時送信するTVCatchupのサービスはEU著作権指令に違反すると
結論づけた。
 ITVなど3社は「英国の裁判所が司法裁の見解に沿った判決を下すことを
期待する。当方のコンテンツを無断で使用し、著作権を侵害していると思われる
サイトやサービスに対しては今後も自らの権利を主張していく」との声明を発表。
一方、TVCatchupは司法裁の判決を不服とし、引き続き高等法院でサービスの
合法性を争う意向を示している。
(Reuters, March 7, 2013)

(庵研究員著)

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3.政府・団体の動向
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政府・団体の動向に関する最新記事の抜粋です。
詳細の横のURLをクリックすることで記事全文を示したページにアクセスできます。

■■情報セキュリティ法務関連政府・団体の動向■■

●3月5日、情報処理推進機構が「Oracle Java の脆弱性対策について
(CVE-2013-1493)」を公開
詳細:http://www.ipa.go.jp/security/ciadr/vul/20130305-jre.html

●3月7日、総務省が【「国際連携によるサイバー攻撃予知・即応プロジェクト
『PRACTICE』」に関する日・マレーシア間の連携】を公表
詳細:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu03_02000039.html

●3月7日、総務省が「スマートフォン時代における安心・安全な利用環境の
在り方に関するWG(第3回)配布資料」を公表
詳細:http://www.soumu.go.jp/menu_sosiki/kenkyu/riyousya_ict
/02kiban08_03000120.html
(注:PDFファイル有り)

●3月7日、総務省が「スマートフォン時代における安心・安全な利用環境の
在り方に関するWG(第4回)配布資料」を公表
詳細:http://www.soumu.go.jp/menu_sosiki/kenkyu/riyousya_ict
/02kiban08_03000121.html
(注:PDFファイル有り)

●3月12日、情報処理推進機構が「2013年版 10大脅威 身近に忍び寄る脅威」
を公開
詳細:http://www.ipa.go.jp/about/press/20130312_2.html
(注:PDFファイル有り)

●3月12日、情報処理推進機構が『「2012年度 デジタル複合機のセキュリティに
関する調査」報告書』を公開
詳細:http://www.ipa.go.jp/about/press/20130312.html
(注:PDFファイル有り)

●3月13日、総務省が「情報セキュリティ アドバイザリーボード(第1回会合)
配布資料」を公表
詳細:http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/ictsecurity/70862.html
(注:PDFファイル有り)

●3月13日、情報処理推進機構が「Adobe Flash Player の脆弱性対策について
(APSB13-09)(CVE-2013-0646等)」を公開
詳細:http://www.ipa.go.jp/security/ciadr/vul/20130313-adobeflashplayer.html

■■コンテンツビジネス法務関連政府・団体の動向■■

●3月6日、総務省が「放送コンテンツ流通の促進方策に関する検討会
(第2回会合)配布資料」を公表
詳細:http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/broadband_contents
/02ryutsu04_03000092.html
(注:PDFファイル有り)

●3月7日、日本音楽著作権協会が「無断複製CD-Rを販売目的で所持していた
レコード販売店経営の男性を告訴」を公表
詳細:http://www.jasrac.or.jp/release/13/03_1.html

●3月8日、デジタル放送推進協会が「テレビ音声認識技術活用のスマホ連動
サービス続々登場」を公表
詳細:http://www.dpa.or.jp/information/2012/1303080001.html

●3月11日、日本映像ソフト協会が「リッピングソフトを提供した不正競争防止法
違反事件について」を公表
詳細:http://www.jva-net.or.jp/news/news_130311/release.pdf
(注:PDFファイル)

●3月14日、デジタル放送推進協会が「Dpa第13回総会開催」を公表
詳細:http://www.dpa.or.jp/information/2012/1303140001.html

●3月14日、日本音楽著作権協会が『ファイル共有ソフト「Cabos」及び
「LimeWire」を用いた著作権侵害音楽ファイルの違法アップロード者2名を
告訴』を公表
詳細:http://www.jasrac.or.jp/release/13/03_2.html

●3月14日、映像産業振興機構が「経済産業省・総務省が連携し実施する
『コンテンツ海外展開等促進事業』受託のご案内」を公表
詳細:http://www.vipo.or.jp/news/3191/

●3月15日、電子情報技術産業協会が「環太平洋経済連携協定(TPP)への
交渉参加表明について」を公表
詳細:http://www.jeita.or.jp/japanese/topics/2013/0315/1303XX_TPP.pdf
(注:PDFファイル)

■■産業財産権法務関連政府・団体の動向■■

●3月8日、特許庁が「産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会
第39回(平成25年 2月25日)議事要旨」を更新
詳細:http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/tokkyo_seido_menu.htm

●3月15日、特許庁が『「特許庁業務・システム最適化計画」の改定について』を
公表
詳細:http://www.jpo.go.jp/torikumi/system/system_saitekika_2013.htm

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4.セミナー情報
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最新のセミナー情報をお知らせいたします。
詳細の横のURLをクリックすることでセミナー詳細情報を示したページにアクセス
できます。

■■情報セキュリティ法務関連セミナー情報■■

演題:サイバー攻撃対策のためのログ分析講座
「第2回 サイバー攻撃対策のためのログ分析講座(基礎編)
〜ログの基礎からAPTによる攻撃の解析まで〜」
日時:平成25年4月24日
主催:日本セキュリティ監査協会
詳細:http://www.jasa.jp/seminar/cyber_attack.html?key=2

演題:情報セキュリティEXPO 春
日時:平成25年5月8日〜9日
主催:リード エグジビション ジャパン株式会社
詳細:http://www.ist-expo.jp/ja/Home/

■■コンテンツビジネス法務関連セミナー情報■■

演題:CSAJの活動を知ろう・利用しよう
〜平成25年度組織体制及び研究会活動のご紹介〜
日時:平成25年4月10日
主催:コンピュータソフトウェア協会
詳細:http://www.csaj.jp/seminar/2013/0410_seminar.html

演題:2013年4月著作権研究会
「著作権と契約について」
日時:平成25年4月24日
主催:著作権情報センター
詳細:http://www.cric.or.jp/seminar/doc/getsurei2013_04.pdf    
(注:PDFファイル)

■■産業財産権法務関連セミナー情報■■

演題:平成25年度 知的財産に関する助成事業説明会 
日時:平成25年4月11日(多摩会場)、12日(秋葉原会場)
主催:東京都中小企業振興公社(アスプラザ)
詳細:http://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/josei/boshu_setsumeikai.html

演題:知的財産・特許基礎セミナー
〜中小企業にとっての知的財産・特許とは〜
日時:4月25日
主催:東京都中小企業振興公社(アスプラザ)
詳細:http://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/seminar/2013/250425tokkyo.html

*詳細は、主催団体のHPへのリンクです。リンク先のコンテンツの内容・著作権等
に関しては、各リンク先にお問い合わせください。

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5.事務局からの連絡
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●次号は、2013年4月5日頃発行の予定です。
●IT企業法務研究所(株式会社インタークロス)は4月8日蚕糸会館8階に
移転いたします。
●ご意見、ご要望は事務局までどうぞお寄せください。
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■本メールは、IT企業法務研究所の会員様およびLAIT News登録会員様に
同意をいただいた上でお送りしているものです。
 広告や宣伝を行いませんし、誘導もしませんので「特定電子メール」に
該当しませんが、リンク先に広告等があった場合はご了承ください。
 本メール配信サービスに関するお問い合わせ、配信停止、登録されている
電子メールアドレスの変更等をご希望される方は、お手数ですが、研究所
事務局までご連絡ください。
 なお、当メールマガジンに記載されている情報の正確さについては万全を
期しておりますが、本メールによって提供された情報に基づくすべての行為に
よって会員がいかなる損害を受けた場合であっても研究所は一切の責任を
負いかねます。
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【発行元】
IT企業法務研究所
(Legal Affairs on Information Technology Institute:LAIT)
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【お問合せ先】 IT企業法務研究所 事務局
          株式会社インタークロス
          東京都千代田区内神田2-2-6 田中ビル6F
           TEL:03-5207-5102
           FAX:03-5207-5101
          Email:webmaster@lait.jp
           URL :http://www.lait.jp/

【4月8日以降のお問合せ先】
IT企業法務研究所 事務局
          株式会社インタークロス
          東京都千代田区有楽町1-9-4 蚕糸会館8F
           TEL:03-6256-0566
           FAX:03-6256-0568
          Email:webmaster@lait.jp
           URL :http://www.lait.jp/
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【協賛】
IT企業法務研究所は、次の企業から特別協賛をいただいております。
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