LAIT NEWS

No.213:バックナンバー

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■LAIT News【Vol.213 2013/2/20号】

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1.LAIT活動報告
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LAITセミナーについてお知らせします。

■■最新の活動報告■■
「クラウド環境における法律問題
−契約と知財侵害の準拠法と裁判管轄権−」は好評のうちに終了いたしました。
たくさんの方にご来場いただき誠にありがとうございました。

■■4月の活動予定■■

*しばらく中断しておりましたLAITセミナーですが、4月から会場を変更して
再開いたします。

演題: 「パブリシティの権利の法社会学的考察」
講師: 錦織 淳(にしこおり あつし)氏
弁護士、一般社団法人日本音楽事業者協会顧問
概要: パブリシティの権利の観念は,アメリカのコモンロー上生成された
   The Right of Publisityを我が国に輸入したものである(阿部教授他の功績)。
   それは,まぎれもなく財産権であった。
    その後我が国でもパブリシティの権利が判例法上認知されていくことになる
   のだが,当所は財産権としての理解が主流であるかの如くみえた。ところが,
   その後氏名・肖像権との概念的区別が整理されないまま肖像パブリシティ権
   なる用語が定着する一方で,いつの間にやら人格権利理解が判例の主流に
   浮上してきたようだ。
    先般のピンクレディ事件の最判は,最高裁として初めてパブリシティ権を
   真正面から肯定したものだが,これによってこの権利は不動のものとして
   確立された一方で,この権利の法的性格や妥当領域について多くの課題を
   投げかけることとなった。
    この最判は,パブリシティの権利がいかなるものかにつき興味深い視点を
   提供してくれているものの,最判の理由を検討する限り種々の概念が未整理
   のまま混在しており,問題は投げ出されたままのように思われる。
    さて,それでは今後どうしたらよいかということだが,肝心なことは,徒らに
   観念論に走らず,概念法学の弊に陥らないことである。
    私は,二十五年前音事協の顧問に就任したが,最初の仕事は
   「専属芸術家統一契約書」の見直しということだった。そこで,アーティストと
   プロダクションの機能・役割分担につき徹底的な実態調査・分析を行った。
   そして,専属契約の究極の目的は「アーティストのパブリシティ価値の形成・
   維持」にあるとの結論に至った。
    その後音事協に加わった湯浅氏による「日米音楽・アーティストビジネスの
   比較研究」は,われわれの研究成果に磨きをかけた。つまり,日本型
   プロダクションの役割の本質をとことん追求していくなかで,アーティストの
   パブリシティ価値の本質がなんであるかを端的に把えることが出来た。
    つまり,アーティストのパブリシティ価値とは,プロダクションとの協同作業に
   よって生み出された商業的価値(財産的価値)」にほかならない。
    翻って,我が国においてパブリシティの権利がどのような場面で論じられて
   きたかというに,それはキャラクターグッズなどの不正使用対策であり,
   いわば海賊版対策であった。そのため,パブリシティの権利は,あくまで
   「被害救済法」として発展せざるをえなかった。そこに差止請求の根拠として
   人格権に傾斜していくという流れが生まれた。
    しかし,実はそこに重大な落とし穴があった。そのことを端的に明らかに
   したのは,プロ野球選手会訴訟であった。ゲームメーカーのコナミは,
   パブリシティの権利の「正当な取引」をするためには誰と(どこと)契約すれば
   よかったのか。この単純・素朴にして最も基本的な問いかけに,我が国の
   パブリシティ権理論は正面から答えることが出来なかった。
    まともな「取引ルール」即ち正当な「パブリシティ権の許諾・権利処理ルール」
   があってこそ,初めて「パブリシティの権の取引市場」が成立する。また,
   そのような取引市場が存在するからこそ,「海賊版」対策が問題になるはずで
   ある。しかし,我が国の法学界において誰もこのことを真正面から論じた者は
   いない。まことに奇妙なことではないか。
    「被害救済法から取引法へ」―これがパブリシティの権利について私の
   提起する命題である。この課題は観念的なものではなく,きわめて実践的な
   ものである。この課題に真正面から取り組んでいけば,パブリシティの権利の
   本質はもちろん,その妥当領域もおのずと明らかになるのである。
日時: 平成25年4月18日(木)午後2時00分〜午後4時00分 [注]時間変更あり
場所: 蚕糸会館6階 第一会議室
千代田区有楽町一丁目9番4号
    (JR有楽町駅 徒歩2分、東京メトロ日比谷線・千代田線・都営三田線
      日比谷駅 徒歩2分)
参加費: 3,000円(税込)
申込: http://www.lait.jp/laitseminar.php?itemid=863

[注] 諸事情により、参加費が有料(3,000円)となりますので、ご了承ください。

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2.海外の注目ニュース
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海外の注目の最新ニュースをお知らせします。

■■オランダ政府がダウンロード違法化見送りを表明、
私的使用目的の複製を引き続き容認■■
●オランダ治安・司法省は4日、著作権者の許可を得ずにインターネット上に
アップロードされた著作物について、私的使用を目的としてダウンロードする行為を
違法化する制度の導入を見送る方針を明らかにした。オランダ議会は昨年12月、
違法ソースからの私的使用目的のダウンロード違法化を見送る動議を採択し、
政府に対して私的使用のための複製に関する例外規定を維持するよう求めていた。
同国では今後も引き続き、著作権者の許可を得ずにアップロードされた著作物で
あっても、私的使用を目的とするダウンロードであれば適法とみなされる。
 オランダではこれまで数年間にわたり、私的録音録画補償金制度を維持する
代わりに違法ソースからの私的使用目的のダウンロードを引き続き容認するか、
それとも違法ソースからの私的使用目的のダウンロードを違法化する代わりに
私的録音録画補償金制度を廃止するか、という二者択一の議論が続いていた。
しかし、ダウンロード違法化は自由な情報の流通やオープンなインターネットの
理念に反し、表現の自由や知識の共有を阻害するといった意見や、違法ダウン
ロードを取り締まるための監視行為が利用者のプライバシー侵害につながると
いった懸念が根強く、最終的に政府が違法化を断念する形になった。
 なお、オランダでは今年1月1日付で私的録音録画補償金制度が改定され、
パソコン、スマートフォン、タブレット端末、オーディオ/ビデオレコーダなどが
新たに補償金の対象となる一方、需要が少ないビデオカセットやMDなどは
対象から除外されている。
(EDRI-gram, February 13, 2013)

■■政治家の発言をリアルタイムでチェック、
ワシントン・ポストが真偽判定の自動化アプリを開発■■
●米有力紙ワシントン・ポストは1月29日、政治家の演説や発言内容が事実に
即しているかどうかをリアルタイムでチェックするためのニュースアプリ
「トゥルース・テラー(Truth Teller)」のデモ版を公開した。
 トゥルース・テラーは動画から抽出した政治家の演説やコメントをテキスト
変換し、ワシントン・ポスト紙のデータベースと照合するシステム。ユーザーが
チェックしたい文章を指定するとアルゴリズムを用いて主張や発言内容が
事実に即したものかどうかを判定し、事実と異なる場合は画面に「False(ウソ)」
の警告が表示される。さらに「view source(ソースを見る)」のボタンをクリック
すると、虚偽と判定した根拠となる記事にアクセスできる仕組みになっている。
 トゥルース・テラーはワシントン・ポスト紙の政治部長スティーブン・
ギンズバーグ氏の着想をもとに開発が進められた。同氏はティーパーティーの
主要メンバーで大統領候補の1人だった共和党のミシェル・バックマン前議員が
2011年にアイオワ州で行った演説のテレビ中継を見ている際、同氏が聴衆を
ミスリードする発言をくり返していることに気づき、視聴者が政治家の主張や
コメントの真偽をリアルタイムでチェックできるシステムを構築したいと考えた。
 専用サイトで公開されたデモ版は開発段階のもので、テーマも税制改革に
限定されている。今後さらに改良が加えられる可能性もあるが、テキスト変換から
真偽のチェックまですべて自動で行うシステムが実際にどの程度機能するかは
不透明だ。具体的な数字など、分かりやすい情報が入っている場合はうまく
機能しそうだが、どこの国でも敢えてあいまいな表現で聴衆をミスリードする
政治家は少なくないため、データベースと照合して真偽を確かめる作業は困難が
予想される。
(paidContent, January 29, 2013)

(庵研究員著)

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3.政府・団体の動向
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政府・団体の動向に関する最新記事の抜粋です。
詳細の横のURLをクリックすることで記事全文を示したページにアクセスできます。

■■情報セキュリティ法務関連政府・団体の動向■■

●2月7日、総務省が[「国際連携によるサイバー攻撃予知・即応プロジェクト
『PRACTICE』」に関する日・タイ間の連携]を公表
詳細:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu03_02000036.html

●2月13日、情報処理推進機構が「Adobe Flash Player の脆弱性対策について
(APSB13-05)(CVE-2013-1372等)」を公開
詳細:http://www.ipa.go.jp/security/ciadr/vul/20130213-adobeflashplayer.html

●2月13日、情報処理推進機構が「Internet Explorer の脆弱性対策について
(MS13-010)(CVE-2013-0030)」を公開
詳細:http://www.ipa.go.jp/security/ciadr/vul/20130213-ms.html

●2月13日、総務省が「情報通信ネットワーク安全・信頼性基準の一部を改正する
告示案等に対する意見募集の結果」を公表
詳細:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban05_02000045.html
(注:PDFファイル有)

●2月15日、総務省が『「情報セキュリティ アドバイザリーボード」の開催』を公表
詳細:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu03_02000037.html
(注:PDFファイル有)

■■コンテンツビジネス法務関連政府・団体の動向■■

●2月12日、日本レコード協会が『2012年度「音楽メディアユーザー実態調査」
報告書』を公表
詳細:http://www.riaj.or.jp/release/2013/pr130212.html
(注:PDFファイル有)

●2月15日、総務省が「無線LAN高速認証技術の実証実験の実施」を公表
詳細:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin04_02000039.html
(注:PDFファイル有)

●2月15日、デジタル放送推進協会が「最高裁判決、テレビ番組ネット転送は
著作権侵害と確定」を公表
詳細:http://www.dpa.or.jp/information/2012/1302150002.html

■■産業財産権法務関連政府・団体の動向■■

●2月19日、特許庁が「産業構造審議会知的財産政策部会商標制度小委員会
第31回(平成25年 2月 8日)議事要旨」を更新
詳細:http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/t_mark_seido_menu.htm

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4.セミナー情報
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最新のセミナー情報をお知らせいたします。
詳細の横のURLをクリックすることでセミナー詳細情報を示したページにアクセス
できます。

■■情報セキュリティ法務関連セミナー情報■■

演題:第5回 全国情報セキュリティ啓発シンポジウム
インターネット安全教室 in ソラマチ
日時:平成25年3月2日
主催:経済産業省、日本ネットワークセキュリティ協会
詳細:http://www.net-anzen.go.jp/symposium/

演題:第28回電子情報利活用セミナー
「情報経済社会を支える要素の現状と未来シリーズ
 3.データと情報経済社会」
日時:平成25年3月5日
主催:日本情報経済社会推進協会
詳細:http://www.jipdec.or.jp/dupc/forum/faudi/event/faudi_seminar28.html

演題:ISMS適合性評価制度に関する説明会
日時:平成25年3月8日
主催:日本情報経済社会推進協会
詳細:http://www.isms.jipdec.or.jp/seminar/201303index.html

■■コンテンツビジネス法務関連セミナー情報■■

演題:Cloudプラットフォーム技術最新動向
〜SDN、Cloud Stack、Cloud Federation Toolを学ぶ〜
日時:平成25年3月7日
主催:コンピュータソフトウェア協会
詳細:http://www.csaj.jp/seminar/2013/0307_seminar2.html

演題:2013年3月 定例研究会
日時:平成25年3月14日
主催:エンターテインメント・ロイヤーズ・ネットワーク
詳細:http://www.j-eln.org/

演題:電子記録応用基盤フォーラム
日時:平成25年3月19日
主催:日本情報経済社会推進協会
詳細:http://www.jipdec.or.jp/dupc/forum/erap/event/report20130319.html

演題:2013年3月著作権研究会
    「著作権に係る抵触法の領分と実質法の領分」
日時:平成25年3月22日
主催:著作権情報センター
詳細:http://www.cric.or.jp/seminar/seminar1303.pdf
(注:PDFファイル)

■■産業財産権法務関連セミナー情報■■

演題:2回シリーズ 《第2回》
中小企業の成功事例に見る!会社を元気にする知的財産の使い方
日時:平成25年2月26日(静岡)
主催:発明推進協会
詳細:http://www.jiii.or.jp/semina/index.html

演題:日本弁理士会近畿支部主催 知財支援セミナー
日時:平成25年3月6日(和歌山)
主催:日本弁理士会近畿支部
詳細:http://www.kjpaa.jp/public/pu_02support/pu_02support_index64.html

演題:中小企業の成功事例に見る!企業活動に直結した知的財産活動とは
日時:平成25年3月6日
主催:発明推進協会
詳細:http://www.jiii.or.jp/semina/index.html

演題:特許庁委託 産業財産権研究推進事業
平成24年度特別研究員 研究成果報告会
日時:平成25年3月8日
主催:知的財産研究所
詳細:http://www.iip.or.jp/seminar/130308.html

演題:特許庁委託事業「グローバル知財戦略会議事業」講演会
日時:平成25年3月8日
主催:知的財産研究所
詳細:http://www.iip.or.jp/seminar/130308_g.html

演題:平成25年度 知的財産に関する助成事業説明会 
日時:平成25年3月18日(秋葉原会場)
主催:東京都中小企業振興公社(アスプラザ)
詳細:http://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/josei/boshu_setsumeikai.html

*詳細は、主催団体のHPへのリンクです。リンク先のコンテンツの内容・著作権等
に関しては、各リンク先にお問い合わせください。

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5.事務局からの連絡
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●次号は、2013年3月5日頃発行の予定です。
●IT企業法務研究所(株式会社インタークロス)は4月1日蚕糸会館8階に移転する
予定です。
●ご意見、ご要望は事務局までどうぞお寄せください。
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■本メールは、IT企業法務研究所の会員様およびLAIT News登録会員様に
同意をいただいた上でお送りしているものです。
 広告や宣伝を行いませんし、誘導もしませんので「特定電子メール」に
該当しませんが、リンク先に広告等があった場合はご了承ください。
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電子メールアドレスの変更等をご希望される方は、お手数ですが、研究所
事務局までご連絡ください。
 なお、当メールマガジンに記載されている情報の正確さについては万全を
期しておりますが、本メールによって提供された情報に基づくすべての行為に
よって会員がいかなる損害を受けた場合であっても研究所は一切の責任を
負いかねます。
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【発行元】
IT企業法務研究所
(Legal Affairs on Information Technology Institute:LAIT)
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【お問合せ先】 IT企業法務研究所 事務局
          株式会社インタークロス
          東京都千代田区内神田2-2-6 田中ビル6F
           TEL:03-5207-5102
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