LAIT NEWS

No.191:バックナンバー

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■LAIT News【Vol.191 2012/3/21号】

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1.LAIT活動報告
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LAITセミナーについてお知らせします。

◆◆今月から、クラウド法制を考える待望の3回シリーズが始まります。◆◆

■■3月の活動予定■■
演題: 「クラウド環境における法律問題
 −コンテンツに対する技術的保護手段−」
講師: 山本 隆司(やまもと たかし)氏
弁護士(インフォテック法律事務所)
概要: 現行の著作権法は、クラウド環境下のコンテンツの保護・利用に
対応しているか。クラウド・コンピューティングにおいて利用される
技術的保護手段が著作権法によって適切な保護を受けているのか、
最も重要な問題である。
 クラウド・コンピューティングにおいては、?サーバ側に置かれた
コンテンツにアクセスできる者を特定人に限るよう、利用者をIDと
パスワードで認証することが必要となる。また、?IDとパスワードを
盗聴から防止するために、これを暗号化などの措置が必要となる。
さらに、?クライアント側に送られるデータを盗聴から防止する
ために、暗号化などの措置が必要となる。
  この講演においては、?技術的保護手段として利用される認証、
暗号化、識別信号などの要素技術の機能と限界を分析する。
?コンテンツをネット・コンテンツ、パッケージ・コンテンツおよび
システム・コンテンツに分けて、技術的保護手段の利用形態の実例を
見ていく。また、?クラウド・コンピューティングを含むデジタル
環境下でのコンテンツの利用において、コンテンツに対するアクセス
・コントロールの保護が必要かを検証する。
日時: 平成24年3月22日(木)午後1時30分〜午後3時30分 [注]木曜日開催  
場所: 「アビタス 八重洲」セミナールーム3
中央区日本橋3−6−2 日本橋フロント4階「アビタス」
    (JR東京駅八重洲口徒歩5分、東京メトロ銀座線・東西線日本橋駅
    B1出口徒歩2分:中央通りと八重洲通りの交差点(日本橋3丁目)
      からタカシマヤ寄り二つ目のビル)
参加費: 3,000円(税込)
申込: http://www.lait.jp/laitseminar.php?itemid=792

■■4月の活動予定■■
演題: 「クラウド環境における法律問題
 −アクセス・コントロールに対する各国の法整備−」
講師: 山本 隆司(やまもと たかし)氏
弁護士(インフォテック法律事務所)
概要: 米国が1998年に制定した「デジタルミレニアム著作権法」(DMCA)は、
その名前が示すとおり、著作権法を21世紀のデジタル環境に対応させる
という意欲を持った立法である。その柱の一つが技術的保護手段の
保護であるが、アクセス・コントロールの保護を中心課題と位置付けて
いる。技術的保護手段の保護についてすでに多くの裁判例があるが、
そのほとんどはアクセス・コントロール事案であって、コピー・
コントロール事案はわずかにすぎない。このことは、コンテンツの保護に
おけるアクセス・コントロールの重要性を示している。
米国に遅れて欧州連合でも2001年に「情報社会指令」を出して加盟国に
アクセス・コントロールを含む技術的保護手段を著作権法で保護することを
義務付けた。これを受けて欧州各国では著作権法にアクセス・コントロール
を保護する規定を置いている。
他方、日本では、著作権法でアクセス・コントロールを保護する必要が
あるとの認識は全く存在せず、不正競争防止法と不正アクセス禁止法で
部分的にかつ間接的に保護されているにとどまる。
この講演では、以上のようなアクセス・コントロールの保護に対する各国
の法制を検討する。
日時: 平成24年4月12日(木)午後1時30分〜午後3時30分 [注]木曜日開催  
場所: 「アビタス 八重洲」セミナールーム3
中央区日本橋3−6−2 日本橋フロント4階「アビタス」
    (JR東京駅八重洲口徒歩5分、東京メトロ銀座線・東西線日本橋駅
    B1出口徒歩2分:中央通りと八重洲通りの交差点(日本橋3丁目)
      からタカシマヤ寄り二つ目のビル)
参加費: 3,000円(税込)
申込: http://www.lait.jp/laitseminar.php?itemid=793

■■5月の活動予定■■
演題: 「クラウド環境における法律問題
 −契約と知財侵害の準拠法と裁判管轄権−」
講師: 山本 隆司(やまもと たかし)氏
弁護士(インフォテック法律事務所)
概要: 国際私法は、クラウド環境下のコンテンツの保護・利用に対応して
いるか。もともと、裁判管轄と準拠法を決定する国際私法ルールは、
各国ごとに異なっている。そのうえ、コンテンツの保護・利用に
ついては、知的財産権に特有の属地主義が存在し、裁判管轄・準拠法
ルールは、複雑な様相を呈している。
この講演においては、まず、日米欧における裁判管轄・準拠法ルール
の法制の現状と改正動向を紹介する。各国においてネットワーク環境へ
の対応を目指して新ルールを提唱する動きが盛んであり、法改正が
盛んである。
つぎに、ネットワーク環境、特にクラウド環境下での固有の問題点を
具体的に見ていく。ネットワーク配信においては、多数の国でコンテンツが
受信されるが、その紛争はどこの国が裁判管轄権を持つのか、またこれに
どこの法が適用されるのか。とくに、サーバとクライアントの所在国が
異なると、裁判管轄と準拠法の決定が問題となるが、クラウド・
コンピューティングにおけるコンテンツの利用が果たしてクライアント側に
あると言えるのか、それともサーバ側にあると言えるのか、微妙な状況を
生ずる。
日時: 平成24年5月18日(金)午後1時30分〜午後3時30分 [注]金曜日開催
場所: 「アビタス 八重洲」セミナールーム3
中央区日本橋3−6−2 日本橋フロント4階「アビタス」
    (JR東京駅八重洲口徒歩5分、東京メトロ銀座線・東西線日本橋駅
    B1出口徒歩2分:中央通りと八重洲通りの交差点(日本橋3丁目)
      からタカシマヤ寄り二つ目のビル)
参加費: 3,000円(税込)
申込: http://www.lait.jp/laitseminar.php?itemid=794

[注] 諸事情により、参加費が有料(3,000円)となりますので、ご了承ください。

[注] 3月から5月は「クラウド環境における法律問題」を取り上げていますが、
   申込みは各月毎になりますので、ご了承ください。

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2.海外の注目ニュース
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海外の注目の最新ニュースをお知らせします。

■■米Aereoが地上波のネット再送信サービス開始、
主要ネットワークは著作権侵害で相次ぎ提訴■■
●米新興企業Aereoは14日、ニューヨークでインターネットを介した地上波テレビの
再送信とクラウド録画サービスを開始した。対応するデバイスがあれば
アプリケーションをインストールしたり新たに機器を購入する必要はなく、
ABC、CBS、NBC、Foxなどのネットワーク系列を含む20チャンネル以上の地上波
放送をライブ視聴できるほか、ネット上のサーバーに観たい番組を録画して、
好きな時に視聴することも可能。さらにFacebookやTwitterを通じて加入者同士が
つながり、リアルタイムで番組についてコメントしたり、友人に番組を薦めること
などもできる。
 Aereoの利用料金は月額12ドル。対応機器は当面、米AppleのiPhoneやiPad、
米Rokuのセットトップボックスなどに限定されるが、近く米GoogleのAndoroid
搭載機器やパソコンでも視聴できるようになる。現在は招待制になっており、
Aereoのサイトでメールアドレスを登録すると90日間の無償トライアルを
利用できる。
 地上波テレビ放送をケーブルテレビ(CATV)や衛星テレビなどで再送信する場合、
ペイテレビ事業者はテレビ局に再送信料を払わなければならない。インターネットで
地上波放送を再送信する試みはAereoが初めてではないが、再送信料を払わずに
サービス展開した米Ivi TVは昨年、主要テレビネットワークや番組供給会社に
訴えられ、裁判所から業務停止命令を受けている。AereoはIvi TVなどとはまったく
異なるメカニズムを採用しているため、再送信料を支払う必要はないと説明して
いるが、主要テレビネットワークは早くも著作権侵害でAereoを提訴している。
 Aereoのサービスは無数の超小型アンテナを集積した箱状の特殊な装置を
ニューヨーク周辺の数カ所に設置し、サービス加入者にアンテナへのアクセスを
提供して各世帯に1チャンネルずつ送信するのが特徴。加入者のリクエストに
合わせて個々のアンテナが地上波の番組を受信し、それをブロードバンドで
ストリーミング送信する仕組みになっている。
 箱状の装置はいわば「テレビチューナー」にあたり、チャンネル選択や録画予約
などの操作はブラウザを使って加入者自身が行うため、合法的な個人向けのネット
再送信にあたるというのがAereoの主張だ。創設者で最高経営責任者(CEO)の
Chet Kanojia氏は、Aereoのサービスは個々の視聴者とクラウド上のアンテナを
つなぐ「ケーブル」の役目を果たしているにすぎず、CATVなどとは本質的にビジネス
モデルが異なるため、公衆送信権の侵害にはあたらず再送信料は発生しないと
説明している。
 しかし、主要テレビネットワークで構成する2つのグループは3月1日、著作権
侵害でAereoに対する訴訟を相次いで提起した。先に訴えを起こしたFox, CW,
Univision,PBSは声明で「新たな動画送信技術を阻止することが訴訟の目的では
なく、著作権侵害と無許可の番組再送信を止めさせるために法的手段をとった」
と説明。一方、ABC, CBS, NBCは「Aereoのサービスは地上波テレビが提供する
コンテンツの不正な利用をベースにしており、違法行為であることは明らかだ」と
指摘している。New York Times紙によると、両グループはAereoに対し、サービス
の即時停止と損害賠償を求めている。
 テレビネットワーク側の反発を無視してAereoがサービス提供に踏み切った
背景には、米ケーブル大手Cablevision Systemsが2006年に開始した「ネットワーク
DVR」と呼ばれるリモートストレージ型DVRサービスを合法と認定した、2009年の
連邦最高裁判所の判決がある。リモートストレージDVRシステムはユーザーが録画
予約したテレビ番組を個人の録画機ではなく、事業者側の中央サーバに蓄積し、
各家庭のセットトップボックス(STB)を使って番組を再生する仕組みだ。
 Cablevisionのサービスでは中央サーバに蓄積した番組を無許可でコピーして加入者に
再送信することになるため、主要テレビネットワークや映画会社は著作権侵害に
あたるとして同社を提訴し、第一審は原告の主張を認めてCablevisionに計画の
差し止めを命じた。Cablevisionはこれに対し、録画した番組はケーブルネットワークの
サーバーに保存されるものの、実際にコピーの操作を行うのはサービス加入者である
ため「私的使用のための複製行為」にあたり、リモートストレージDVRは通常のDVRと
本質的に同じサービスで著作権侵害にはあたらないと反論。最終的に同社の主張が
認められ、リモートストレージDVRシステムの合法性が確定している。
(Aereo Press Release, March 14, 2012 他)

(庵研究員著)

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3.政府・団体の動向
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政府・団体の動向に関する最新記事の抜粋です。
詳細の横のURLをクリックすることで記事全文を示したページにアクセスできます。

■■情報セキュリティ法務関連政府・団体の動向■■

●3月5日、情報処理推進機構が「コンピュータウイルス・不正アクセスの届出状況
【2012年2月分】」を公表
詳細:http://www.ipa.go.jp/about/press/20120305.html

●3月15日、情報処理推進機構が「IPAテクニカルウォッチ
『組織の内部不正防止への取り組み』に関するレポート」を公表
詳細:http://www.ipa.go.jp/about/technicalwatch/20120315.html

●3月15日、日本ネットワークセキュリティ協会が「2011年 情報セキュリティ
インシデントに関する調査報告書【上半期 速報版】」を公開
詳細:http://www.jnsa.org/result/incident/2011.html

■■コンテンツビジネス法務関連政府・団体の動向■■

●3月1日、コンピュータソフトウェア著作権協会が「Shareを通じて漫画を
アップロード、男性を送致」を公表
詳細:http://www2.accsjp.or.jp/criminal/2011/1176.php

●3月8日、コンピュータソフトウェア著作権協会が「個人売買掲示板でアニメの
海賊版を販売、男性を送致」を公表
詳細:http://www2.accsjp.or.jp/criminal/2011/1177.php

●3月16日、総務省が「我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計・試算」
を公開
詳細:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban04_02000031.html

■■産業財産権法務関連政府・団体の動向■■

●3月13日、特許庁が「産業構造審議会知的財産政策部会意匠制度小委員会」を
更新
詳細:http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/isyou_seido_menu.htm

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4.セミナー情報
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最新のセミナー情報をお知らせいたします。
詳細の横のURLをクリックすることでセミナー詳細情報を示したページにアクセス
できます。

■■情報セキュリティ法務関連セミナー情報■■

演題:第9回情報セキュリティEXPO春
日時:平成24年5月9日〜11日
主催:リード エグジビション ジャパン株式会社
詳細:http://www.ist-expo.jp/

■■コンテンツビジネス法務関連セミナー情報■■

演題:ISMS適合性評価制度に関する説明会のご案内
日時:平成24年3月30日(大阪) 
主催:日本情報経済社会推進協会
詳細:http://www.isms.jipdec.or.jp/seminar/201203index.html

演題:CSAJの活動を知ろう・利用しよう
〜平成23年度委員会成果報告及び平成24年度活動計画〜
日時:平成24年4月11日
主催:コンピュータソフトウェア協会
詳細:http://www.csaj.jp/seminar/2012/0411_seminar.html

演題:JEPA 第9回 セミナー 〜電子出版最前線〜
日時:平成24年4月27日
主催:日本電子出版協会
詳細:http://kokucheese.com/event/index/30836/

演題:第9回シンポジウム 「パブリシティ権」(予定)
日時:平成24年5月26日
主催:エンターテインメント・ロイヤーズ・ネットワーク
詳細:http://www.j-eln.org/

■■産業財産権法務関連セミナー情報■■

演題:知財研セミナー
「アジアにおける知財の活用とリスク 〜中小企業支援の経験から〜」
日時:平成24年3月28日
主催:知的財産研究所
詳細:http://www.iip.or.jp/seminar/120328.html

演題:AIPPI・JAPANセミナー 「日米の知財事情:知財の保護・執行・取得」
日時:平成24年4月12日
主催:日本国際知的財産保護協会
詳細:http://www.aippi.or.jp/japan/seminar_10025.html

演題:知的財産・特許入門セミナー 
〜中小企業にとっての知的財産・特許とは〜
日時:平成24年4月13日
主催:東京都知的財産総合センター
詳細:http://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/seminar/2012/240413_nyumon.html

演題:2012年4月著作権研究会
「著作権法近10年の視点・論点(判例・立法政策)」
―インターネットは著作権法のパラダイムを転換したか―
日時:平成24年4月17日
主催:著作権情報センター
詳細:http://www.cric.or.jp/seminar/seminar1204.pdf
(注:PDFファイル)

*詳細は、主催団体のHPへのリンクです。リンク先のコンテンツの内容・著作権等
に関しては、各リンク先にお問い合わせください。

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5.事務局からの連絡
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●次号は、2012年4月5日頃発行の予定です。
●ご意見、ご要望は事務局までどうぞお寄せください。
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■本メールは、IT企業法務研究所の会員様およびLAIT News登録会員様に
同意をいただいた上でお送りしているものです。
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よって会員がいかなる損害を受けた場合であっても研究所は一切の責任を
負いかねます。
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【発行元】
IT企業法務研究所
(Legal Affairs on Information Technology Institute:LAIT) 
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